杉本博司の新展覧会に東京都庭園美術館で開催中の『建物公開2026 アニマルズ in 朝香宮邸』、会員制クラブ「ソーホーハウス東京」のオープンまで。建築とアートそれぞれの視点で世界の“いま”を映し出す、今週のよく読まれた注目記事3本をお届け。
第3位 【杉本博司の新展覧会】黒の巨匠スーラージュと対峙する、南仏ロデーズの注目展示

パリから飛行機で1時間あまり。南フランス、オクシタニー地方の主要都市ロデーズは、黒一色の抽象画で知られるピエール・スーラージュの生まれ故郷だ。この街のシンボルのひとつとなっているのが、2014年に開館したスーラージュ美術館。アーティスト本人からの寄贈を中心に500点を超えるコレクションを誇り、常設展のほかに、これまで年2回のペースで企画展を開催してきた。同美術館が今年9月13日まで開催しているのが、杉本博司の作品展『Reprendre la Mélodie(本歌取り)』である。
長谷川等伯へのオマージュが息づく『松林図』
展覧会のタイトルの由来になったのは、2001年に撮影された『松林図』。長谷川等伯の水墨画『松林図』に想を得て、全国の松の名所を巡った末に辿り着いた彼が、皇居で見た究極の人工美を “水墨写真”にした作品だ。
スーラージュ美術館館長のモード・マロン=ヴォイェヴォスキーは、「個人作品の美術館として、ピエール・スーラージュの作品と出合い、響き合い、絆を作るという考えで企画展を行ってきました。杉本博司とスーラージュの、コンセプトとフォルムについての共通点を考察しようというのが展覧会のアイデアです」と語る。「両者ともに、起源という概念と作品における時間の概念にこだわった。スーラージュは黒を色彩の起源とし、杉本は連作を通して時間へのアプローチや連続性を探究しています」
---fadeinPager---
第2位 【会員制クラブ「ソーホーハウス東京」オープン】オニツカタイガーと日本製デニム中心のユニフォームを共同開発。
オニツカタイガーと共同開催されたソーホーハウス東京のオープニングパーティの様子。4月6日、東京・青山に会員制クラブ「ソーホーハウス東京」がオープンした。「ソーホーハウス」とは、1995年にニック・ジョーンズがロンドンのソーホー地区で創業した、クリエイティブな分野で活躍する人々が集う社交クラブだ。
現在ではニューヨーク、バルセロナ、イスタンブールなど世界各地に拠点が拡がり、レストラン、スパ、ワーキングスペースなどさまざまな過ごし方ができる場所として、多くの人たちから愛されている。
実はこのソーホーハウス東京で働くスタッフが着用するユニフォームは、オニツカタイガーと共同で開発された。4月3日にはソーホーハウス東京のオープンとユニフォームの誕生を祝したパーティが開催され、トータルルックのユニフォームコレクションが初披露目となった。
東京は日本初の拠点となり、世界では50番目。アジアではムンバイ、香港、バンコクに続く4拠点目となる。
---fadeinPager---
第1位 【動物モチーフで読み解くアール・デコ建築】旧朝香宮邸の建物公開展|東京都庭園美術館

東京都庭園美術館で開催中の『建物公開2026 アニマルズ in 朝香宮邸』は、日本を代表するアール・デコ建築として知られる本館の魅力を紹介する、年に一度の建物公開展。今年は「アニマルズ」をテーマに、旧朝香宮邸にゆかりのある思いがけない動物たちに着目し、その意匠の背景を読み解いている。
かつて数多くの動物が飼育されていた旧朝香宮邸
朝香宮鳩彦王・允子妃の自邸として1933年に竣工した旧朝香宮邸、すなわち東京都庭園美術館・本館。主な部屋の内装をアンリ・ラパンやルネ・ラリックらの芸術家が手がけ、全体の設計を皇室建築を担った宮内省内匠寮が担当している。その朝香宮邸には、白孔雀や鶴といった鳥類をはじめ、ドーベルマンやシェパードなどの犬、さらにチンチラ兎などの多様な動物が飼育されていた。カナリヤと熱帯魚については、ベランダで飼われていたことも分かっているという。
本館の室内装飾に、鹿や魚といった動物のモチーフが用いられていることは、あまり知られていない。たとえば神話の楽園世界のような空間が広がる、大客室の壁面の装飾パネルだ。生い茂る木々やアーチ状の構造物などとともに、ライオンの壁泉や水を飲む鹿が描かれ、牧歌的な雰囲気が醸し出される。また大食堂の壁画にも、池に白鳥や黒鳥が泳ぐ様子が表され、後景の壁泉の周りにはイルカや水鳥と思しき姿も見て取れる。