ガウディの手掛けた建築は、いつの時代もクリエイターの創造力を刺激してやまない。その魅力に出合った3人が、それぞれの立場から奥深い側面について語ってくれた。本記事では、Pen最新号『ガウディとサグラダ・ファミリア』から、俳優の磯村勇斗が魅了されたガウディからの“メッセージ”について、一部抜粋して紹介する。
アントニ・ガウディが没後100年を迎える2026年、サグラダ・ファミリア教会のメインタワーがついに完成した。ガウディが残したメッセージを紐解くことが、大きな転換期を生きる我々にとって、未来への道標になるはずだ。
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時間をかけることの尊さを教えてくれる
世界の建築や美術を紹介するテレビ番組で、レポーターとしてガウディ建築を訪ねた俳優の磯村勇斗。なかでも最も印象に残ったのがコロニア・グエル教会だった。
「中に入った途端、包み込まれるような感覚があってとても居心地がよかったですね。石でできているのにどこかやわらかくて、母親の胎内にいるような感覚を覚えました。傾斜した柱が上へ上へと伸びていて、それがサグラダ・ファミリア教会にも取り入れられている。作品をたくさん見れば見るほどガウディを身近に感じるようになりました」
写真が趣味の磯村は現地で熱心にガウディ建築を撮影。グエル公園からの眺めやサグラダ・ファミリア教会の尖塔など、瞬間の感動をカメラに収めた。photo: Hayato Isomura
家具好きとしても知られる磯村だが、コロニア・グエル教会のベンチに座ってみて、よりガウディに親しみを覚えたという。
「ベンチは直線的につくられているものが多いですが、この教会のベンチは曲線的で、ふたつの座面がハの字につながり隣との距離感もちょうどよい。座ってみてあまりの心地よさに驚きました。ガウディはこういった日常的な家具にも、使う人の気持ちを考えて制作しているんです」
サグラダ・ファミリア教会においては、ガウディ自身が完成を見届けられないと知りながら着工したことにも感銘を受けた。
「職人たちが試行錯誤しながらどうやって仕上げていくのか、そのプロセスをガウディは大事にしていたと聞きました。決して上に立って指示をするのではなく、仲間を信頼してみんなで輪になって建物をつくっていく。僕はサグラダ・ファミリア教会を訪れて、何事にも時間をかけることは悪いことじゃない、というメッセージをガウディから受け取った気がします」
ガウディ建築を実際に見て触れたことで、「奇想建築」という既成概念が払拭されたと磯村は言う。
「ガウディは未完の部分を僕らに残してくれた。謎も多いですが、それは“宝を探しに冒険の旅に出ろ”という建築家の遺した言葉なのかもしれません」

磯村勇斗●俳優。1992年、静岡県生まれ。多くのテレビドラマや映画で幅広い役柄を演じる。代表作は『ヤクザと家族 The Family』『劇場版 きのう何食べた?』『月』『波紋』『正欲』など。2024年に第47回日本アカデミー賞で優秀助演男優賞を受賞。
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