【顔を3D解析するイヤホン】身体データから、自分専用の“本当の音”が聴ける

  • 文:麻倉怜士
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〈ワイヤレスイヤホン〉
final TONALITE ファイナル トナリテ

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2025年にクラウドファンディングで先行発売されると、支援総額8700万円を超える人気プロジェクトに発展。新フラグシップとして一般発売に至った。¥39,800(実勢価格)

ファイナルの「TONALITE」は、〝本当の音〟が聴ける初の個人適応ワイヤレスイヤホンだ。あなたがイヤホンで聴く音は、本来の音ではない。すべての音は、頭、顔、胸など身体の表面を経由して耳に届く。その間に、その人固有の特徴が加わる。それごと聴くのが、われわれの聴覚だ。でもイヤホンは始めから耳の中で鳴るのだから、個人情報は皆無。本当の音は聴けない。

この乖離問題に対し、世界中のイヤホンメーカーはアプローチを繰り返してきた。でもそれはユーザー一人ひとりを厳密に測定しないとわからないので、ご無体だった。それを初めて成功させたのが、フランス語で「音色」を意味する「TONALITE」だ。数理的にこの問題を解いたという。

頭に同梱のヘアバンドを被り、専用アプリにてマーキングされた箇所や耳、顔などを自身のスマホで撮影する。それをサーバーに送ると、その人の3D顔モデルを生成。その顔を測定し、獲得した固有値をイヤホンに送り返し、パーソナライズする。スマホで耳を撮影するやり方はこれまで他社にもあったのだが、効果は乏しかった。

ところが、「TONALITE」は、すごく効いた。個人化データオフとオンを比べて試聴すると、天と地ほどの違いがある。筆者が手掛けた、情家みえの「チーク・トゥ・チーク」(UAレコード)を聴く。オフではボーカル、ピアノ、ドラムス、ベースが、いずれも均等な小さな音像で、穏当で横並びに鳴っていたが、オンではまったく異なった。ボーカル音像のボディが大きくなり、主役としての雰囲気が横溢。オーディオとしての特性向上に加え、勢いが活発になり、音楽的エモーションが濃くなった。これぞ私が伝えたかった〝本当の音〟だった。

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専用アプリで身体形状のスキャンと、耳道測定を実施。3Dモデルを生成し、ヴァーチャル音空間でのシミュレーションを経て、自分専用のプロファイルがつくられる。

麻倉 怜士

デジタルメディア評論家。デジタルシーン全般の動向を常に見据える。著書に『高音質保証! 麻倉式PCオーディオ』(アスキー新書)、『パナソニックの3D大戦略』(日経BP社)などがある。

final
support@final-inc.com

麻倉怜士

デジタルメディア評論家

デジタルメディア評論家。デジタルシーン全般の動向を常に見据える。著書に『高音質保証! 麻倉式PCオーディオ』(アスキー新書)、『パナソニックの3D大戦略』(日経BP社)などがある。

麻倉怜士

デジタルメディア評論家

デジタルメディア評論家。デジタルシーン全般の動向を常に見据える。著書に『高音質保証! 麻倉式PCオーディオ』(アスキー新書)、『パナソニックの3D大戦略』(日経BP社)などがある。