【リサ・ラーソンのつくり方】あの名猫“マイキー”の原点から、会場の半分を占める大型ワークショップまで。名作が生まれる魔法を体感!

  • 文&写真:はろるど
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『リサ・ラーソンの作り方 展』より、第2部「私だけのリサ・ラーソンを作る」展示風景

スウェーデンを代表する陶芸家、リサ・ラーソン(1931~2024年)の展覧会が、東京・立川のPLAY! MUSEUMにて開かれている。猫やライオンなど動物を象ったかわいい陶器や、絵本のユーモラスなキャラクター「マイキー」など、日本でも多くの人々に愛されるリサの作品。今回は作品の裏側にある「つくる」という営みに光をあて、創造の原点をたどっている。

プロダクトの制作過程を通して、リサのものづくりを紹介

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『リサ・ラーソンの作り方 展』より、第1部「リサ・ラーソンのものづくりを見る・知る」展示風景 写真はプロダクトの制作工程サンプル。

スティグ・リンドベリに見出され、1950年代にスウェーデン最大の陶磁器メーカー、グスタフスベリ社でキャリアをスタートさせたリサ。以後、同社の黄金期を支える中心的デザイナーとして活躍し、1980年に独立後はフリーランスとして多くのクライアントと仕事を重ねた。2022年には、長年にわたりスウェーデンの芸術と工芸の発展に寄与した功績が認められ、同国政府より勲章を授与されている。

リサの作品は、成形から焼成までを自身で行う一点ものの陶器(ユニーク・ピース)と、原型をもとに職人が制作する量産陶器の二つのかたちで展開される。本展では、世界中に届けられたプロダクトが生まれるまでの過程を紹介。アトリエで実際に使われていた道具類や、作業着として愛用していた日本の剣道着、また試作サンプルなど、創作の背景を物語る品々が並んでいる。

スケッチを描いて言葉の代わりにアイデアを育てる 

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『リサ・ラーソンの作り方 展』より、第1部「リサ・ラーソンのものづくりを見る・知る」展示風景 写真はリサのスケッチ。

20点あまりのスケッチが並ぶコーナーに注目したい。1つ目のケースには、リサが自分の代名詞と呼んでいた猫のモチーフが登場する。「猫はミステリアスで、自由で、一番で、美しくて、しなやかで、強いの。だから好き」との言葉を残すリサは、かつて5匹の猫を飼っていたほどの猫好きとして知られている。そして、こうしたスケッチから絵本のイラストが生まれ、人気キャラクター「マイキー」へとつながっていく。

もう1つのケースには、動物や人、花瓶など、多彩なモチーフのスケッチが並ぶ。一人の作家によるものとは思えないほど表現の幅が広く、写実から漫画風、さらに抽象を思わせる線描までが自在に展開されている。リサにとってスケッチは、完成のための下絵ではなく、アイデアを育てる言葉のような存在だった。これらのスケッチが日本でまとまって紹介されるのは今回が初めて。リサの思考が息づく、生の瞬間に触れられる貴重な機会となっている。---fadeinPager---

写真家・木寺紀雄が撮影したリサの写真とその思い出

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『リサ・ラーソンの作り方 展』より、第1部「リサ・ラーソンのものづくりを見る・知る」展示風景 写真は「リサ・ラーソン、暮らし、創作」(上映時間:5分30秒)

スウェーデンのアトリエをたびたび訪ね、20年近くリサを撮り続けた写真家・木寺紀雄によるスライドショーも見逃せない。木寺が「素敵なおばあちゃま」と呼ぶリサは、親しみやすい人柄の一方、仕事に向かうときは真剣で、その切り替えに心を打たれたという。何より印象的だったのは、つくることを心から楽しむ姿。撮影の帰り際にはいつも「何か持ち帰っていいわよ。また来てね」と、温かな言葉で送り出してくれたそうだ。

若い頃から日本の芸術やものづくりに魅了され、民芸に強い関心を寄せていたリサは、1970年にはスウェーデンのデザイナー代表団の一員として初来日し、大阪万博を訪れている。79年には西武百貨店で日本初の個展が開催され、続く81年には「スウェーデン女流陶磁家 リサ・ラーソン展」に招かれアーティストとして再来日を果たす。「日本は作品をいちばん理解してくれる国」と語るほど、深い親近感を抱いていたとされる。

会場の約半分がワークショップに! リサの作品を参考にチャレンジしよう

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『リサ・ラーソンの作り方 展』より、第2部「私だけのリサ・ラーソンを作る」展示風景 写真は「マイキーのサンドアートボトル」体験コーナー。

うずまき状の展示空間の中心部にある大空間では、リサのつくり方を参考に、絵を描いたりできるワークショップが毎日開催されている。特に人気の「マイキーのぬり絵」とは、マイキーにオリジナルの絵柄を描くことが出来るもの。完成品は持ち帰っても、展示作品として残すことも可能で、会場では個性豊かに彩られたマイキーたちがずらりと並び、楽しい光景をつくり出している。

このほか、ボトルのサンドアートを楽しむ「マイキーのサンドアートボトル」や、リサの原型をもとに全国の窯元が制作した「リサ猫」の陶器に模様をつける「にっぽんのリサ猫模様つけ」も体験できる。国内で過去に4回ほど開かれたリサの大規模展の中でも、今回は手を動かすことを通して新たな楽しみを見つけられる構成だ。ものづくりの喜びを味わえるユニークで新しい『リサ・ラーソンの作り方 展』へ、創る人のまなざしで出かけたい。

『リサ・ラーソンの作り方 展』

開催期間:開催中~2026年2月23日(月・祝)
開催場所:PLAY! MUSEUM
東京都立川市緑町 3-1 GREEN SPRINGS W3 棟 2F
開館時間:10時〜17時 ※土日祝は18時まで
※入場は閉館の30分前まで
休館日:2/8
観覧料:一般 ¥1,800 他
※一部のワークショップは日付、曜日指定。参加費が必要
https://play2020.jp/article/lisalarson/

はろるど

アートライター / ブロガー

千葉県在住。WEBメディアを中心に、アート系のコラムや展覧会のレポートを執筆。日々、美術館や博物館に足を運びながら、作品との出会いや発見をSNSにて発信している。趣味はアートや音楽鑑賞、軽いジョギング。そしてお酒を楽しむこと。

はろるど

アートライター / ブロガー

千葉県在住。WEBメディアを中心に、アート系のコラムや展覧会のレポートを執筆。日々、美術館や博物館に足を運びながら、作品との出会いや発見をSNSにて発信している。趣味はアートや音楽鑑賞、軽いジョギング。そしてお酒を楽しむこと。