【新生・原宿クエスト】なぜ表参道と奥原宿は“合体”したのか?建築家・重松象平が仕掛けた「二面性」の正体

  • 文:佐藤季代
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表参道のメインストリートのケヤキ並木に面して、ガラスのファサードがダイナミックに立ち上がる。1〜3階には「NIKE HARAJUKU」が入店。

原宿駅のほど近くに位置する複合商業施設「原宿クエスト」。NTT都市開発の手により1998年に開業して以来、変化を続ける街と歩み続けてきたが、2021年に閉館。20年に先行開業した「ウィズ原宿」を起点に進む再開発計画の核として、25年9月、新たな姿で生まれ変わった。

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建物に二面性を持たせることで、表参道と奥原宿という街の密度の異なるエリアの境界を越え、新たな動線と景観をつくり出している。

設計を手掛けたのは、OMAパートナーでありニューヨーク事務所代表を務める重松象平。掲げた建築コンセプトは〝デュアリティ(二面性)〟だ。地下2階・地上6階建ての高層棟と1階建ての低層棟を組み合わせ、両者を貫くパサージュによって建物と街を立体的に結んでいる。

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表参道側から内部へ誘う開放的なパサージュが設けられている。歩みを進めるほど、奥原宿らしい親密なスケールへと切り替わっていく。

この二面性が最も明快に表れているのがファサードの構成だ。グローバルブランドが軒を連ねる表参道側は、垂直性を強調したガラスファサードを採用し、光を取り込みながら、大通りへ向けてのびやかに開かれている。一方、入り組んだ路地に独立系ショップが集まる奥原宿側では、ヒューマンスケールのテラスを階段状に積層。2階には広がりのあるオープンスペースが設けられ、休憩やイベントなど多様な活動を受け止める場として機能している。

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植栽が配されたテラスが立体的に連なり、緩やかに街並みにつながる。2階にはオープンスペースが設けられ、イベントなどに活用される。

回遊性を高め、異なるエリアを縫い合わせるように立ち上がる原宿クエスト。商業施設の枠を超えて、街に新たな動きを呼び込む場所へと変わりつつある。

原宿クエスト

住所:渋谷区神宮前1-13-14  
※営業時間は施設によって異なる
https://harajuku-quest.com
【設計者】OMA/重松象平
建築と都市計画の領域を手掛ける国際的な設計事務所。重松はパートナーでニューヨーク事務所代表を務める。本建築はNTTファシリティーズが設計し、OMA/重松象平がデザインアーキテクトを担当。