レトロなフィルムカメラやコンパクトカメラがブームな昨今。だがそれらのブームは、王道たる一眼レフカメラ、現在はその発展形であるミラーレスカメラが常にあるからこそ際立っている。では、王道のミラーレスカメラを手にする価値はどこにあるのか? 人気写真家のShotaさんとともに、キヤノンの最新ミラーレスカメラ「EOS R6 Mark III」を通して確かめた。
まるで“アニメのような世界”を表現する写真家
今回「EOS R6 Mark III」とともに撮影に出かけたShotaさんは、自身の写真集のタイトルでもある「何気ない日常をアニメチックに」をテーマに作品制作を行い、インスタグラムには58万人以上のフォロワーが存在する。
「日常のワンシーンが切り取れるような場所が好きです」と語るShotaさん。いまでも続く撮影テーマの「空」に目を向けたのは中学生の頃だった。最初は携帯音楽プレイヤーの内蔵カメラで写真を撮っており、それが友人に好評を博したことが写真にのめり込むきっかけとなった。最初は自分のために撮っていた写真だが、その作品に元気づけられるファンも増加。現在のShotaさんは、そうした人々に作品を届けることを大事にしている。
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スマホでなく、ミラーレスカメラで撮るメリット
Shotaさん作品
「映画『君の名は。』のキービジュアルとなった場所です。手前の階段の手すりを入れて、そこから奥につながっていく道を一緒に入れてあげることにより、奥行き感を表現し、視線誘導も狙った構図にしています」
スマートフォンで写真が撮れる昨今、写真はますます身近になった。カメラを趣味としない人たちもSNSを通じて大量の写真に接しているので、目が肥えていると言われる時代。だからこそ、“カメラ”の生み出す写真が改めて注目されている。
現在のShotaさんもスマートフォンとミラーレスカメラのそれぞれを活用。それでもミラーレスカメラを持ち出す日には「今日は必ずなにかを撮りたい!」という気持ちとともに玄関を出る。カメラを持って出かけることは、その気持ちにまで作用するのだ。
カメラを使う“らしさ”のひとつに、ファインダーをのぞく所作がある。ファインダーをのぞき、両手でカメラを支えることでフレーミングが安定する……という実用上の理由もあるけれど、やはり昔ながらのスタイルとして“ファインダーをのぞきたい”という欲求は根強い。
では、スマホとカメラで写真はどう変わるのか。
Shotaさんは「カメラで撮った写真は質感が高いので、ちょっと写真がうまくなった気がしますよね(笑)」と語る。カメラを手にすることで、スマホを手にする人とは少し違った“プロっぽい”佇まいになることにも憧れていたのだという。
プロとして撮影する現在でも、人物撮影で相手に信頼感を持ってもらえたり、“一眼らしい”と言われる大きなボケを表現に取り入れられるのが、ミラーレスカメラで写真を撮るメリットだそうだ。
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表現への欲求を支える、35㎜フルサイズセンサー
Shotaさん作品
「こちらは『すずめの戸締まり』の聖地となった場所です。川のカーブ(S字ライン)に合わせて電車が顔を出した瞬間を狙いました。 向上したオートフォーカス性能のおかげで、ここぞというタイミングを逃すことなく切り取れました」
Shotaさんの生み出す世界観は“アニメチック”と呼ばれる。実は、こうした作品にも高性能なカメラは活躍する。少し技術的な話に踏み込んでみたい。
「スマホで撮った写真のシャドウを起こすとノイズが入りがちですが、カメラならよいグラデーションが得られます。これがイラストっぽい表現にも向いているんです」
どういうことか。
イラストのような写真というのは、つまり、明るい部分(ハイライト)も暗い部分(シャドウ)も全体が見通せる状態にある。このためにShotaさんは、撮った写真の暗い部分を明るくし、明るい部分のまぶしさを抑える編集を施す。
「EOS R6 Mark III」の心臓部は“35㎜フルサイズ”と呼ばれる、35㎜フィルムの1コマと同じ約36×24㎜の大きさのイメージセンサーだ。この面積をスマートフォンと比較すると、約10倍という圧倒的な差がある。すると画素の一つひとつも大きくなり、それだけ多くの光を取り込める。持っている情報量が豊富なぶん、明るさなどの編集作業に対しても余裕が生まれる、と理解してほしい。
このイメージセンサーの大きさによって、カメラらしい美しいグラデーション、その場の空気感をも写すような大きな背景ボケが写真にもたらされる。Shotaさんいわく、仲間と遊んだ日のグループチャットのフォトアルバムでも「いい画質!すごい!」と喜んでもらえるのが、カメラを手にしてうれしかったことのひとつだという。この画質メリットこそ、多くのカメラ好きが“35㎜フルサイズ”のカメラに憧れる理由だ。
Shotaさん作品
「横位置で撮影し、ワイドな世界観の広がりを表現するとともに川の流れや線路が手前から奥に伸びていくところを捉え、奥行き感を表現しております」
レンズを交換できるのもカメラならではの魅力。Shotaさんがよく使うのは、“標準ズーム”と呼ばれる「RF24-70mm F2.8 L IS USM」。暗いシーンで三脚が使えなくても明るく写し止められたり、ポートレートで背景を大きくボカしたい時に、“F2.8”という本格スペックが有利に働く。また、よりワイドな世界を捉えられる「RF15-35mm F2.8 L IS USM」も愛用。その場で感じたインスピレーションに素早く反応しやすいズームレンズが好みだという。
「そこまで本格的なレンズは……」という人でも心配ご無用。キヤノンEOSミラーレスカメラ用のRFレンズには豊富なラインアップが揃っている。Shotaさんからのアドバイスとして、カメラは35mmフルサイズを選びつつ、レンズは「RF50mm F1.8 STM」や「RF45mm F1.2 STM」といったコンパクトかつ手頃な単焦点(ズームできない画角固定のレンズ)を組み合わせるのもお薦めだ。
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初心者でも楽しく撮れる高性能。動画の撮りやすさもアップ
Shotaさん作品
「日没直後のマジックアワーを撮影しました。空のハイライトから雲の陰影、そして手前の建物のシャドウに至るまで、EOS R6 Mark IIIの広いダイナミックレンジのおかげで、白飛び・黒つぶれを抑えた豊かな階調で表現できました」
Shotaさん作品
「住宅街特有の電線と坂道によって奥行き感を表現しています。また、影から撮影し、光の差し込みを入れることによって、差し込む光の美しさとその場所に進んでみたくなるようなそんな心情表現も込めて撮影しました」
ほかにも「EOS R6 Mark III」には、最新のミラーレスカメラならではのハイテク機能が充実している。たとえばAI技術で鍛え上げられたオートフォーカス(AF)機能だ。画面内に人物がいれば、顔、そして左右の目まで自動的に検出してピントを合わせる。ポートレート撮影の基本でありつつ繊細で難しい撮影操作が、カメラ任せで確実に行える。
さらに、その瞳を捉えたまま、最高で秒間40枚のスピードで撮影できるのだ。激しい動きのあるシーンでも顔や瞳を捕捉しつづけ、ベストな1枚を選び出せるだけのパワーがある。実際のところ、カメラ操作の経験や自信がない人にこそ、こうした高機能な最新カメラを選ぶ価値はある。まずはカメラ任せで撮影を楽しみながら、じっくりとフォトライフを深めてほしい。
さて、動画機能についてもShotaさんに聞いた。前機種の「EOS R6 Mark II」と比べて、手ブレ補正がさらに強くなった実感があるという。作品づくりでも仕事でも、動画撮影の比率は高まっている。手ブレを抑えるジンバルを使わず、手持ちで動画撮影もさらに確実になりそうだ。
今後の抱負として「アニメを実写化することはよくありますが、その逆をやってみたいんですよね」と語るShotaさん。そんな時、写真にも動画にも高いポテンシャルを発揮する「EOS R6 Mark III」は最適解だと太鼓判を押す。
最後に、なぜShotaさんがキヤノンを選んだのか尋ねてみた。プロとしての冷静なチョイスかと思いきや、意外な答えだった。「この“Canon”と書かれたストラップが好きなんです。赤いストライプに白い文字。中学校の先生が使っていたカメラがキヤノンで、このストラップにこそ“ザ・カメラマン”という印象を強く持ちました。だから、自分もキヤノンを買いたいと思いました」。
「EOS R6 Mark IIIは以前より画素数を増やしつつ、写真も動画も万能です。SNSにちょっといい写真をアップしたい! といった気持ちがある人なら、少し頑張ってでも手にしてほしいカメラです」
キヤノン EOS R6 Mark III
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