アートと暮らす、最初の一歩を。「LUMINE ART FAIR」で、感性が息づく日常へ

  • 文:久保寺 潤子
  • 写真:Kohichi Ogasahara
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多くの来場者で賑わった「LUMINE ART FAIR-MY 1_st CollectionVol.4-」の会場。ニュウマン新宿・ルミネゼロを舞台に、アートと日常が出会う特別な3日間となった。

今年で4回目を迎えたルミネのアートフェア「LUMINE ART FAIR-MY 1_st CollectionVol.4-」が、11月1日(土)から3日(月・祝)までニュウマン新宿5階のルミネゼロで開催された。「アートのある毎日を」をテーマに、2010年にスタートした「LUMINE meets ART PROJECT」の一環として2019年に初回を開催した本企画。これまでルミネやニュウマンを彩ってきた新旧のアーティストを中心に、今年は31名が参加し、3日間で2000人を超える多くの来場者数を迎え、過去最高の売上を記録した。

アートのある暮らしを、もっと身近に

もっと気軽にアートを暮らしに取り入れたい、アートとともに暮らしたい。そんな思いを叶えてくれるのが「LUMINE ART FAIR」だ。会場には、自宅に飾りやすいサイズや、初めてアートを購入する人にも手に取りやすい価格帯の作品がずらり。作品を紹介・解説してくれる4名のコンシェルジュスタッフが常駐し、作家本人と直接話せる贅沢な機会もある。気軽に立ち寄れる雰囲気の中で、作品を鑑賞し、その場で購入・持ち帰ることができるのも魅力。飾り方や保管方法のアドバイスも受けられ、まさに“アートとともに暮らす第一歩”を後押ししてくれる心強いフェアだ。

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会場にはカフェスペースも併設。「TAK BEANS」によるアートフェア限定ビールや、「cannelle」が手掛けたアーティスト作品をモチーフにした特製スイーツが、来場者の感性を優しく満たした。
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前田麦、諸橋拓実、Boojilが織りなすワークショップも登場。アーティストと来場者の手が交わるたび、新しい色とかたちが生まれ、会場は小さな創造のアトリエのように息づいていた。

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ルミネがつなぐ、個性あふれるアーティストたち

会場入り口でまず目を引いたのは、アーティスト・伊藤桂司の作品。ミュージシャンのアートワークも多く手掛ける彼の世界観に、思わず足が止まる。その隣には、今回のメインビジュアルを担当した加藤崇亮の絵画が並ぶ。古いポストカードを題材にした映像的な筆致は、どこか懐かしくも新しい。

写真表現の新しい可能性を見せたのは、レタッチャーとしての技術を生かした安藤瑠美。現実と虚構の狭間を漂う都市風景は、まるで夢の残像のようだ。HIDEKI TAKEMOTOは8ミリフィルムの映像を印画紙へ再定着させ、記憶と可視性の境界を探る。

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加藤崇亮は、古いポストカードや印刷物を題材に、アクリルや油彩、オイルパステルで再構成する。記憶やメディアが生み出すイメージの揺らぎを描き出す表現が特徴。
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左:レタッチ技術を駆使した安藤瑠美の「TOKYO NUDE」シリーズ。今回の新作には、異なる解像度の世界にブレと荒れの要素が追加されている。右:HIDEKI TAKEMOTOは、量子力学的視点から光の痕跡をフィルムに定着させ、暗室で印画紙へ再構築することで、知覚と物理現象のあわいを探る。

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工芸を現代的な視点からつくりあげた山口ひかりは、酸化・還元させた銅素材に七宝(金属の素地にガラス質の釉を焼き付けて装飾する技法)の豊かな彩色を融合させ、ダイナミックな作品に昇華。柳田有希子はチタン板に異なる電圧を加え、化学変化によりさまざまな色を引き出す独自技法によって、うつろう光を作品にとどめた。 

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点や線、色に意味を持たせず、心と身体の赴くままに描くことで、子どもの頃の直感を呼び覚ますという山口ひかりの作品。
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柳田有希子は、電圧による化学変化でチタンに多彩な色を生み出す独自技法を用い、一瞬ごとに移ろう光と色の重なりを作品に刻む。

テクノロジーを駆使しながら人間の個性を感じさせる作品も登場した。ピクセルアニメーションアーティストの重田佑介(thePIXEL)は、海岸で拾い集めた石にピクセルアートを彫刻。刻まれたイメージは、それぞれの石の画像をもとにAIが生成した寓話に着想を得たものだ。一方、プロッタードローイングという手法を通じてさまざまな素材に立ち現れる多様な線を描いたDIGRAPHの作品は、テクノロジーと人間のアイデアによる共作だ。

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AIが凝縮する情報やアルゴリズムと、石が宿す自然や時間。その交差から、テクノロジーと手仕事が共鳴する新たな表現を生み出す重田佑介(thePIXEL)の作品。
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機械が描く線のゆらぎに耳を澄ます。DIGRAPHは、プロッタードローイングの手法を通じて、制御と偶然の境界に立ち上がる“現象としての線”を見つめ続けている。

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ポジティブなエネルギーを、持ち帰ろう

出口付近には投票ボックスが設置され、来場者が選ぶ「オーディエンス・アワード」を実施。グランプリ受賞者は後日、ルミネ・ニュウマンのウィンドウや館内にて展示される予定だ。併設の限定アートストアでは、展示作家のグッズや作品集、さらには作家によるワークショップも開催。ショッピングや食事の延長でアートと出会える――そんな“日常の延長線上の非日常”を体験できるのが、このフェアの魅力だ。

今日よりも少し良い明日をつくるために、アートは私たちの暮らしにポジティブなエネルギーを運んでくれる。“マイファーストコレクション”との出会いが、あなたの新しい日常を彩るきっかけになるかもしれない。ルミネが提案するアートプロジェクトに、これからも目が離せない。

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ルミネならではの充実したグッズショップも見どころ。お気に入りのアーティストの作品を、ポスターや雑貨などを通して暮らしに取り入れられる。アートをもっと身近に感じられる時間がここにある。
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毎年のアートフェアに加え、ルミネ・ニュウマンでは定期的にウィンドウ展示やアーティスト関連のポップアップなども開催。訪れるたびに新しい発見があり、アートへの感度が高いこの場所では、日常の中でインスタレーションのような刺激を体感できる。

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ルミネ

www.lumine.ne.jp