【5万円台で“ハイエンド級”】AUREX最新小型オーディオの驚くべき実力

  • 文:麻倉怜士
Share:

〈CD/FM ワイヤレススピーカーシステム〉
AUREX AX-XSS100(オーレックス エーエックス エックスエスエス100)

黒.jpg
音源が圧縮されるため、音質が下がってしまうBluetooth接続でも、ハイレゾ相当にアップコンバート。臨場感と鮮明さを両立させることに成功した。¥50,000前後(実勢価格)

東芝のオーディオブランド「オーレックス」から、とびきり音がいい一体型オーディオが誕生した。左右にスピーカー、センターに操作部とメディア部という形は昔なら「ラジカセ」と言ったが、本機にはカセットメカはない。音源は内蔵のCDドライブ、FMラジオ、ブルートゥース、USBメモリーと多彩で今様だ。

この手のものは気軽に音楽を楽しむのが目的で、音質はそれなりのものが多いのだが、本機は違う。「ハイエンド」の形容が与えられるほど、本格的なのである。一般的に小さなシステムは、人工的に低音と高音を強調する〝ドンシャリ音〟がほとんどだが、本機は実に正統派。低域から高域までレンジが広く、音の安定感、剛性感が高い。特に低音が豊潤だ。

情家みえの「チーク・トウ・チーク」の冒頭はアコースティック・ベースから始まるが、弾み音のスケールが大きく、キレが鮮明。このふたつが並び立つとは刮目だ。ボーカルの伸びやかさ、輪郭のクリアさも上質。これほどの高音質が、こんなコンパクトなシステムで聴けるとは驚き。

開発にあたっては、この小ささの中にいかに最新技術を導入し、最高の音を追求するかにこだわった。小さな筐体だからこそ闘志を燃やした。ロサンゼルスの技術開発ハウス、アイレックス社の音技術を惜しみなく投入。圧縮音声をハイレゾにアップコンバート、周波数特性をフラットにするなど秘伝の技術を複数搭載し、さらに日本のハイエンドアンプメーカー、DVASのトップエンジニアが音づくりした。この手のスピーカーでは非常識なほどの贅沢だ。

その結果として高音質が得られたのは当然だが、それほどの音の地平をクリアしたコンパクトシステムはたいへんまれだ。

FB-2.jpg
突起物を除いた本体サイズは、幅400㎜、高さ132㎜、奥行239.5㎜とコンパクト。不要な振動や共鳴を抑える素材を使用し、剛性の高い木製のエンクロージャーを採用している。

麻倉 怜士

デジタルメディア評論家。デジタルシーン全般の動向を常に見据える。著書に『高音質保証! 麻倉式PCオーディオ』(アスキー新書)、『パナソニックの3D大戦略』(日経BP社)などがある。

問い合わせ先/東芝エルイートレーディングサポートセンター
TEL: 0120-28-0488