現代最高のドレスウォッチとして評価が高い、パテック フィリップの「カラトラバ」。誕生から90年以上を経過してなお、輝きを増す腕時計だ。老成した名品であるいっぽうで、大胆で若々しいフェイスとカラーの新作が腕時計シーンを賑わせもする。そんな「カラトラバ」の最新の顔ぶれから代表的な7本をピックアップし、それぞれのキャラクターと魅力を検証する。
パテック フィリップ「カラトラバ」とは?
「カラトラバ」は1932年に誕生したパテック フィリップの代表的モデルにして、不朽のロングセラー。腕時計ファンの多くが憧れの一本として名前を挙げる存在だ。一方で「カラトラバ」は、1つのイメージで括れる存在ではない。表示の形式だけでも、センター3針とスモールセコンド3針、時分針だけの2針が存在する。デイトつきとノンデイトのどちらもラインアップされていて、自動巻きと手巻きの両方が選択肢にある。3種類のゴールドにプラチナ、小振りなサイズも準備されている。自分だけのベストセラーは、贅沢な目移りを誘発する魅惑のコレクションに潜んでいるのである。
1. カラトラバ 6196P
印象的なダイヤルカラーは、グランドコンプリケーションの「5236P」にも使われた“ローズゴールドメッキのオパーリン文字盤”。ヴィンテージ調の全体イメージをさらに引き立てている。ドフィーヌスタイルの時分針とファセット加工を施したオビュ(砲弾)スタイルのアワーインデックスは、いずれもチャコールグレー(アントラサイト)のホワイトゴールド製。前面ポリッシュ・側面サテン仕上げのプラチナケースは、6時位置にブリリアントカットダイヤモンドをセットしている。
2. カラトラバ 6119R
パテック フィリップのスタイルを象徴する代表的モデルとして評価される、ギョーシェ加工のホブネイル模様ベゼルを備えた「カラトラバ」。いっぽうケース厚さわずか8.1mmのローズゴールド製ケース、銀色のグレイン仕上げ文字盤で、現代的なスタイルの魅力を備えた。時分針とオビュスタイルのアワーインデックスはいずれもケースと同じくローズゴールド製。スモールセコンドとシュマン・ド・フェール(レイルウェイ)ミニッツトラックが、ノーブルな顔立ちを演出する。
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3. カラトラバ 5227J
日付表示を持ち、センターセコンド3針の自動巻き。現代的な仕様の「カラトラバ」であり、ラグにかけて繊細なカーブを描くラウンドケースが印象的だ。アイボリーカラーのラッカー仕上げダイヤルにはイエローゴールドの時分・秒針と“トラピーズ”型のアプライド・インデックスを配し、同系色の調和を見せている。特徴的なディテールは、サファイアクリスタル製のシースルーバックを保護する、隠し(インビジブル)ヒンジを備えたダストカバーの装備だ。
4. カラトラバ 5226G
異色とも思えるテクスチャーのダイヤルは、ヴィンテージカメラからのインスピレーションを思わせるもの。チャコールグレーの文字盤の立ち上がりにブラックグラデーションの縁取りを施し、粒状の質感を与えた。ホワイトゴールド製アプライド・インデックスとシリンジ型時分針には、ベージュの蓄光塗料をコーティング。サイドから見たケースバンド全周にはホブネイル模様のギョーシェ加工を刻んでいる。ヌバック仕上げのベージュストラップも、趣が深い。
5. カラトラバ 6007G
エボニーブラックの文字盤中央にはカーボン模様のエンボス加工、ホワイトゴールド製のアラビア数字アプライド・インデックスとアントラサイトで縁取ったバトン型時分針には、はっきりとした白色夜光塗料コーティング。三角形のマーカーと4分の1秒目盛にヴィヴィッドなスカイブルーのアクセントを効かせた若々しいコーディネートは、「カラトラバ」に新しい印象を与えるものだ。カーボン模様のブラックストラップの裏地も、同色のステッチを施したスカイブルーを配している。
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6. カラトラバ 5088/100P
パテック フィリップの芸術的センスと工芸技巧のレベルの高さを物語る1本。手作業による渦巻きとアラベスク模様の彫金を施してブラックのエナメルで仕上げたゴールドダイヤルは、ジュネーブで育まれた装飾技法のエッセンシャルを示し、プラチナ製「カラトラバ」に特別な価値を与えるものだ。光沢のあるブラックストラップのピンバックルにも、手作業による彫金が施されている。一方でサファイアクリスタル製のシースルーバックからは、マイクロローター装備の超薄型自動巻きムーブメントが覗く。
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7. カラトラバ 7200R
銀色のグレイン仕上げダイヤルに、ローズゴールド製ブレゲ数字のアワーインデックスと、ペアシェイプ時分針。ケース径34.6ミリの「カラトラバ」もラインアップされていて、選択の幅を広げている。直線的なラグを備えたオフィサーズスタイルのケースは、男女問わず「カラトラバ」の普遍的スタイルのひとつ。エレガントな外見のいっぽうで、超薄型自動巻きムーブメント搭載の本格的な機械式時計でもある。マット・パーリー・ベージュのアリゲーターストラップを装備。

並木浩一(桐蔭横浜大学教授/時計ジャーナリスト)
1961年、神奈川県生まれ。1990年代より、バーゼルワールドやジュネーブサロンをはじめ、国内外で時計の取材を続ける。雑誌編集長や編集委員など歴任し、2012年より桐蔭横浜大学の教授に。ギャラクシー賞選奨委員、GPHG(ジュネーブ時計グランプリ)アカデミー会員。著書に『ロレックスが買えない。』など多数。
パテック フィリップ ジャパン・インフォメーションセンター
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