伝説のダイバーズが復活! 14角形ベゼルで魅せる、ジラール・ペルゴ「ディープ ダイバー」の歴史とデザインを紐解く

  • 写真:渡邉宏基(LATERNE)
  • 文:柴田 充
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今年5月に久々の復活を遂げたジラール・ペルゴの「ディープ ダイバー」

1791年創業のスイスの名門マニュファクチュール、ジラール・ペルゴが新作を発表した。1960年代から70年代にかけて発売されたダイバーズウォッチの復活だ。歴史によって培われた豊富なアーカイブからこれまで埋もれていたヘリテージに現代性を再発見し、さらに前へ進む。そんなブランドの意欲とチャレンジ精神が伝わってくる。

1969年に遡る、ディープ ダイバーの歴史

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1971年モデルは当時一般的だったブラックではなく、大胆なデザインのレッド文字盤を採用し、機能一辺倒ではないダイバーズウォッチの魅力を表現した。

ジラール・ペルゴのダイバーズウォッチの代表作には「シーホーク」がある。1940年代に登場し、ブランドにおける防水性能に優れたモデルの草分けとなり、90年代には「シーホークⅡ」として本格ダイバーズに生まれ変わった。「ディープ ダイバー」はこれに並び、60年代末から70年代にかけてブランドのダイバーズ黎明期を飾った。

オーバルケースに200mという当時画期的な防水性能を備え、内蔵式の回転ベゼルをケースサイドの2時位置のリューズで設定操作する。出色なのが、独自の双方向自動巻きシステムのジャイロマティックシステムを搭載したことだ。これによってエネルギー効率は大幅に改善し、シンプルな機構は海中という過酷な使用環境でも高い信頼性を誇ったのである。1969年の発表後、79年まで製造は続けられた。

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プールサイドが似合う、ポップなデザイン

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ディープ ダイバー 軽快かつフィット感に優れたラバーストラップを採用。ストラップは2色セットで、クイックリリースシステムで異なる個性が楽しめる。自動巻き、チタンケース、ケースサイズ40.3×38.0㎜、パワーリザーブ約46時間、シースルーバック、ラバーストラップ(2本セット)、200m防水、350本限定。¥2,134,000

復刻された「ディープ ダイバー」は、昨年に大きな話題を呼んだ「キャスケット」に次ぐレガシーエディションの第2弾であり、英国のカスタマイズメーカー、バンフォード ウォッチ デパートメントとのコラボレーションによる。同社は、ジラール・ペルゴとはこれまでも「キャッツアイ」や「ロレアート」のセラミックモデルでパートナーシップを組んだ実績があり、これが第4作だ。

1969年の初代オリジナル「Ref.9108」のデザインを踏襲し、文字盤は71年モデルの大胆なダイヤルカラーを採用した。そしてそれを取り巻く特徴的な14角形ベゼルは、その後に誕生する「ロレアート」のオクタゴンのベゼルを予感させるのである。

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ケースは、コーナーのスロープから側面にかけて美しいサテンで仕上げる。ふたつのリューズトップにもグリッドを刻む凝った仕様。

オーバルケースは四隅に向けてなめらかなスロープを描き、これに対し両サイドは膨らみのあるラインをシャープに裁ち落とす。三次元曲線の複雑なフォルムはジラール・ペルゴらしい凝った造形だ。

すり鉢状に奥行きのある文字盤は、大胆な色づかいもあいまって、回転ベゼルの存在を意識させない。インデックスもスーパールミノバを施した後、平面に仕上げている。こうした手のかかる仕様でポップなグラフィックをより強くアピールし、眩しい太陽の下、夏のマリンリゾートやプールサイドが似合う腕時計に仕上がった。

「ディープ ダイバー」が蘇らせたのは、そんな自由で活気あふれる70年代の空気感なのかもしれない。

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最新スペックを備えた復刻が、新たな扉を開く

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ケースバック。一見するとブルー地のプリントだが、実はサファイアクリスタルを用い、まるで大深度での視界のようにおぼろげに奥が見える。

オリジナルをほぼ忠実に再現した復刻版だが、それだけではリバイバルする意味はないだろう。そこで新たにケース素材に軽量かつ耐食性にすぐれたチタンを採用するとともに、現代的なスペックを備えた自社キャリバーの「GP03300」を搭載する。

ケースバックにはオリジナルがバッヂにあしらった、ローマ神話の海を司る神・ネプチューンが持つトライデント(三叉槍)を描いたエンブレムを再現している。実はこれはブルーのメタライズを施したサファイアクリスタルで、じっくりのぞき込めばその奥に「GP03300」の存在を確認できるだろう。これもツイストを利かせたセンスで高く支持されるバンフォードとのコラボならではの遊び心だ。

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スタイリッシュなデザインだけでなく、蓄光塗料を塗布した針やバーインデックスが海中のような暗所でも視認性を確保する。

ジラール・ペルゴは、初めて日本に上陸したスイス時計であり、「スリーゴールドブリッジ」といった独創的なコンプリケーションを手掛ける名門マニュファクチュールとして広く知られる。だが歴史ある正統派という側面と、時代を先取りする感性や大胆なチャレンジスピリットについては、あまり注目されていなかったかもしれない。「ディープ ダイバー」はそうした本来持っている個性と魅力をあらためて知らしめるトリガーといえるだろう。

新たに着任したマネージングディレクター、マルク・ミシェル=アマドリーも、今後ブランドのレガシーを受け継いだ一貫性あるジラール・ペルゴらしさを重視する方針という。独立系ブランドとしてこれからの展開がますます楽しみになる。

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セットボックスは半透明のブルー越しに、プールサイドから水中へのエントリーステップを模す。夏の気分をかき立てるデザインだ。

 

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4月には日本国内初となるブティックを大阪・心斎橋にオープン。長堀通に面した路面店で、ブティックならではの貴重なモデルが揃い、じっくりと腕時計を見られる優雅な空間だ。

ぜひ直接足を運んで、ジラール・ペルゴの世界観と多彩なコレクションの数々をその目で見てみてほしい。

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ブティック2階のカウンター席とソファー席。メゾンのアイコンである「ロレアート」を想起させる、8角形のしつらえが印象的だ。

ジラール・ペルゴ ブティック 大阪
住所:大阪府大阪市中央区西心斎橋1-13-6
TEL:06-6281-1791
営業時間:11時〜19時
定休日:水曜

ソーウインド ジャパン

TEL:03-5211-1791
www.girard-perregaux.com