伝統と先端技術の融合で、いつでも理想の一杯を

  • イラスト:信濃八太郎
  • 編集:一ノ瀬 伸
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〈コーヒーメーカー〉
HARIO Hikaru V60 Smart Brewer(ハリオ ヒカル V60 スマート ブリュワー)

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先端テクノロジーで正確かつ多彩なコーヒードリップを実現した「Hikaru V60 Smart Brewer」。抽出中のライトアップも楽しい。2024年3月一般販売予定。¥86,800

円錐形をしたハリオのV60ドリッパーは、扇形ドリッパーに比べ、深いコーヒー粉の層ができ、成分をより多く抽出できるという特徴がある。大きなひとつ穴のため抽出の自由度が高く、コーヒーの世界大会ワールド・ブリュワーズ・カップでは、過去に6人がこれを使って優勝している。世界のバリスタの定番として知られるが、使いこなすのはなかなか難しい。

このV60のよさを存分に発揮し、水量、水温、流速、時間を正確に制御して理想の一杯をつくり出すべく生まれたのが「ヒカルV60スマートブリュワー」だ。創業100周年を記念して2021年に開発に着手。IoTなど先端テクノロジーに強い台湾の関連会社ヒロイアとともに、社名の由来である玻璃王(はりおう=ガラスの王様)の名にふさわしく、見た目にも美しい珠玉の一台に仕上げた。

透過ドリッパーとグラスサーバーを囲む円形の設えは、まるで茶室の丸窓を思わせる。その内側にはLEDライトが仕込まれ、加熱時にはオレンジの光が次々に昇り、抽出時には白い光の粒が落ちていき、蒸らしの際はゆっくりとした光の点滅になる。バリスタがそこにいるかのような、淹れる仕草を再現しているのだ。5本のシャワーで行われる注湯は、対流を起こすために真ん中だけやや太くなっている。香りだけでなく、視覚に訴えかける数々の仕掛けに思わず息を呑むことだろう。

コーヒーの量やローストレベルに合わせた9つのプリセットレシピから選ぶほか、専用アプリで好みに合わせてカスタムすることも可能。ロースターとのコラボも予定しており、パッケージのQRコードを読み取ることで、豆の種類ごとにロースターが考える“最適な抽出”を完全再現するという。3月の発売が楽しみだ。

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専用アプリをリモコン代わりに使用する。コーヒー豆の焙煎度ごとに適した抽出レシピが用意されているほか、好みに合わせてカスタマイズしたレシピも保存可能。

神原サリー

新聞社勤務を経て「家電コンシェルジュ」として独立。豊富な知識と取材をもとに独自視点で発信。東京・広尾の「家電アトリエ」をベースに、テレビ出演や執筆、コンサルティングなど広く活躍中。

HARIO
mail:official-contact@hario.com

※この記事はPen 2024年3月号より再編集した記事です。