無心になれる料理の時間は、思考から解放してくれるもの

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    56 金原ひとみ|作家

    各界で活躍する方々に、それぞれのオンとオフ、よい時間の過ごし方などについて聞く連載「My Relax Time」。第56回は、2003年に『蛇にピアス』で小説家デビューし、リアリティある人間描写とともに変化する社会の姿を描き続け、数々の文学賞を受賞してきた作家・金原ひとみさんです。

    写真:殿村誠士 構成:舩越由実

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    金原ひとみ(かねはら・ひとみ)●1983年、東京都生まれ。2003年に『蛇にピアス』が第27回すばる文学賞、第130回芥川龍之介賞を受賞し、注目を集める。2021年には『アンソーシャル ディスタンス』が第57回谷崎潤一郎賞に輝いた。著書に『ミーツ・ザ・ワールド』(集英社)、『ハジケテマザレ』(講談社)など多数。

    フランスから帰国してすぐにコロナ禍になってしまったのですが、最近久しぶりにトークイベントや対談に呼ばれるようになって。ようやく……という感じですね。直接会ってお話しする仕事ができて本当に楽しかった。あるイベントでは「シャンパンを飲みましょう」って、お酒を飲みながらトークをしました(笑)。 オンラインのコミュニケーションでも相手の知らない一面が見えることはありますけど、実際に会って対話をすると、その人の生活や考え方を肌で感じることができますよね。

    昨年出した『ハジケテマザレ』では、コロナ禍に抱いていた「みんなで酒盛りをしたい」という願望をひとつの場面として描きました。小説には日常で感じたことを描写することが多いですね。

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    おいしいものを食べに行ったり、お酒を飲んで人と話したりするのが好きです。忙しくて外出できなくなると、やっぱり煮詰まってくるので、がんばって時間をつくって飲みに行きます。お酒が大好きなんです(笑)。仕事仲間や編集者、友達など、テーブルを囲むのは少人数のほうが性に合っていますね。

    料理もしますよ。ご飯は毎日つくっているのですが、それがリラックスできる時間でもあります。ずっと家で仕事をしているので、無心になれる料理の時間はいい息抜き。決まった時間ではなく、集中力が切れた時に一品か二品つくって、それが晩ご飯にもなる。もともとパズルゲームが好きで、料理は冷蔵庫の余った食材を使い切るミッションのように捉えています。もう何も考えられなくなった時に、思考から解放してくれる。料理とはいいバランスで付き合えています。

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    以前はたばこを吸っていましたが、最近は減ってきましたね。大きなきっかけは、たばこを吸える飲食店が少なくなったこと。やっぱり人と飲んでる時がいちばんたばこを吸いますからね。この変化は自分の中でもちょっとした革命で、人とお酒を飲むということの意味も変わっていくように感じました。

    禁煙しようと決めたわけではないので、加熱式たばこを吸うこともあります。紙たばこと加熱式たばこ、どちらも吸う人が多くて共存できている。本も電子化されていますが、紙に慣れている人が電子書籍に移行するのはなかなか難しいですよね。たばこは場所によって使い分けることが浸透しているので、業界として見習うところもあるかもしれません。

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    『ハジケテマザレ』金原ひとみ 著 講談社 ¥1,760
    問い合わせ先/JT
    www.jti.co.jp