東京のランドマークになる、日本初のヘザウィック建築【今月の建築ARCHITECTURE FILE #16】

  • 文:佐藤季代

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新設された桜麻通りを挟んで低層のガーデンプラザが立つ。左奥の超高層ビルが森JPタワー、右側がジャヌ東京の入るレジデンスA。 photo: Raquel Dini

六本木ヒルズ、虎ノ門ヒルズなど数々の都市開発を手がける日本最大のディベロッパー、森ビル。同社が虎ノ門・麻布台エリアに30年という年月をかけて進めてきた市街地再開発事業「麻布台ヒルズ」が、2023年11月に開業を迎えた。約8.1ヘクタールの広大な敷地には、日本一の高さを誇るビル「森JPタワー」を中核に、住宅やホテル、学校、店舗など多様な都市機能が集結。「モダン アーバン ヴィレッジ」をコンセプトに掲げ、国内外の著名建築家やデザイナーが参画し、緑とともにある個性豊かな街づくりを計画した。

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森JPタワー前に広がる約6,000m²の中央広場。麻布台ヒルズアリーナに架けられた円形キャノピーもヘザウィック・スタジオが担当。 photo: Kenji Masunaga

なかでも注目されるのが、エリアの東西を結ぶ桜麻通り沿いに連なるガーデンプラザ。高級ブランドのテナントなどが入居する4区画とランドスケープを、ロンドンを拠点に世界各国で活動するヘザウィック・スタジオが担当。日本初のヘザウィック建築が誕生した。

東京らしさのある新たな都市の居場所として、網目状のガラスウォールが波打つ有機的な建築を提案。それらを取り巻く曲がりくねった散策路や屋上斜面が日本の四季を意識した多種多様な植栽で彩られ、プロジェクトのコンセプトを体現している。

来年初旬にかけて新店舗のほか、アマンの姉妹ブランドホテル「ジャヌ東京」のオープンが控えるなど、東京の新たな賑わいに今後も注目したい。

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敷地の東側を走る桜田通り沿いに立つガーデンプラザD棟。左側にあるのは、開発に合わせて建て替えられた西久保八幡神社。 photo: Kenji Masunaga

 

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もともとの街のスケールに配慮した低層部は、立体的な庭園と一体となった曲面のデザインが特徴。緑を眺めながら散策も楽しめる。 photo: Raquel Dini

麻布台ヒルズガーデンプラザ


住所:東京都港区虎ノ門5-10-7
開店時間:店舗によって異なる
定休日:店舗によって異なる 
www.azabudai-hills.com
【設計者】ヘザウィック・スタジオ
代表のトーマス・ヘザウィックは、1970年ロンドン出身。94年にヘザウィック・スタジオを設立。世界各地で革新的なプロジェクトを手がける。2004年に王室工業デザイナーに選出。代表作に「ベッセル」など。

※この記事はPen 2024年2月号より再編集した記事です。