陶芸家・鹿児島睦の日々を知る、初の大規模展覧会

  • 文 : 高橋美礼(デザインジャーナリスト)

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「プレート」

国内外に多くのファンをもつ、陶芸家でアーティストの鹿児島睦による新作絵皿が、個展という形で発表される。その数およそ200点。過去にはギャラリーや販売を前提とした単発的な展示は行われてきたが、今回は国内の美術館を巡回する大規模な企画展だ。展覧会は市立伊丹ミュージアムでスタートし、10月から東京・立川、2024年2月から静岡・三島、そして4月からは鹿児島の活動拠点の福岡で開催が予定されている。

展覧会タイトルにある「まいにち」とは、鹿児島にとって「私の毎日、制作をする毎日のこと」。動物や植物をモチーフにした独自の世界観で描く絵皿は、粛々と向き合う日々の制作から生み出されてきた。

「私は、過去の作品のことは、ほとんど振り返りません。昨日より今日のほうが上手になっていると考えていますし、明日のほうがもっとよくなると思いながら、手を動かし続けています。それが私にとっての毎日。仕事であり、ライフそのもの。展覧会を見てくださる人それぞれが、毎日の生活や食事を感じたり想像したりしながら、楽しんでもらえればうれしいと思っています」と話す。

器とは使うものであり、見るものでもあるという視点を常にもち続ける鹿児島の作風を特徴づける絵皿が、本展では朝昼晩といった1日の時間軸になぞらえて構成される。アトリエの様子や制作のインスピレーション源になるものなどを紹介するインスタレーションも計画中とのこと。さらに、さまざまな領域でコラボレーションするプロダクトや作品約100点が揃う。たとえば、京都の唐紙店「かみ添」の屏風や、ビーズ刺繍作家の小林モー子による作品、徳島の藍染・染師「ブアイソウ」で染める風呂敷など、ハンドメイドの器とは異なる表現にも期待が高まる。

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「掻き落とし」 photo: Masaru Tatsuki

鹿児島睦

鹿児島睦は1967年、福岡県生まれ。造形作家だった祖父の影響を受け、美術大学で陶芸科を専攻。彼が描き下ろす絵皿は、伸びやかで自由。見る側の想像力を刺激する。絵柄は展覧会に合わせて刊行される図録『鹿児島睦 まいにち』で細部までじっくり鑑賞したい。

『鹿児島睦 まいにち』

開催期間:6/30~8/27
会場:市立伊丹ミュージアム
TEL:072-772-5959
開館時間:10時~18時 ※入館は閉館30分前まで 
休館日:月曜日、7/18 ※7/17は開館
料金:¥1,000 
https://itami-im.jp

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※この記事はPen 2023年8月号より再編集した記事です。