繊細かつ鋭敏な感覚から求める、セシリエが描く究極の普遍性

  • 文:猪飼尚司(デザインジャーナリスト)

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展示風景のアイデアより。自身のアトリエで用いる仕事の道具、食事やコーヒーブレイクの時にテーブルに並ぶうつわやカトラリー、模型、サンプル、収集品、両親の陶芸作品、ドローイング、写真など、セシリエ・マンツを知ることができる200点以上のアイテムが集結する。 photo: JEPPE SØRENSEN

デンマークきっての実力派デザイナーとして知られるセシリエ・マンツ。バング & オルフセンにはじまり、フリッツ・ハンセン、ムート、フレデリシアをはじめとした北欧トップブランドとの協働もさることながら、近年は1616/アリタ ジャパンの磁器やマルニ木工の家具など、国内ブランドとも連続的にコラボレーション。この4月にはエルメスからも新作家具を発表するなど、着実に活動の領域を広げ続けている。

そんなセシリエ・マンツが、日本初となる本格的な個展『TRANSPOSE─発想のめぐり』を開催する。TRANSPOSEとは「移行、転移」の意で、音楽の世界では移調(音程/キーを変えること)を示す言葉。アイデアがどのように生まれ、視点がいかに変化し、確実なデザインへと結実していくのか。同展では思考が移ろい、デザインが進化していく様子を、ふたつの会場、5つのテーマで紹介していく。

第一会場となるBaBaBaでは、陶芸家の両親に伴い、幼少期に訪れた佐賀県有田町の記憶と自身が手がけた有田焼のうつわとの関係、仕事場や食卓の風景とデザインの発想のつながり、そして自発的に手がける実験プロジェクトの最新プロトタイプなどを紹介。一方、第二会場のマルニトーキョーでは、色彩にテーマを絞り、カラーハンティングの様子や色の捉え方を、実作やサンプルを交えながら、詳しく解説していく。

会場設計もセシリエ・マンツ・スタジオが担当。デンマークのインテリアテキスタイルブランド、クヴァドラの製品「フロイド」に独自の手法で繊細なフリンジを加えたロングテーブルを展示台にしたり、解説のパネル代わりに有田焼の皿を加工したものを応用するなど、展示手法にも、デザイナーの細やかな意識が及んでいる。

『セシリエ・マンツ展〈TRANSPOSE 発想のめぐり〉』

開催期間:~6/30
会場:BaBaBa
開館時間:11時~18時
休館日:水曜日
料金:入場無料
※マルニトーキョーにて 『セシリエ・マンツ展〈TRANSPOSE 発想のめぐり -A Hint of Colour〉』が同時開催
https://bababa.jp/ceciliemanz/ceciliemanz

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※この記事はPen 2023年7月号より再編集した記事です。

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【画像】繊細かつ鋭敏な感覚から求める、セシリエが描く究極の普遍性

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