“世界初”の原典を継ぎ、未来への架け橋となるブランパンのダイバーズウォッチ

  • 写真:渡邊宏基(LATERNE)
  • 文:並木浩一

Share:

1953年に誕生したブランパンの「フィフティ ファゾムス」は、世界初のモダンダイバーズウォッチとして時計史に名を残す逸品だ。70周年の節目を迎え、コレクションはさらなる進化を遂げている。

blancpain_01_1953-the-first-fifty-fathoms.jpg

1953年に誕生した初代「フィフティ ファゾムス」。ベースとなるデザインコードは変わらずに現在まで受け継がれている。 

ブランパンが「フィフティ ファゾムス」を生み出さなかったら、海の腕時計の歴史はまったく違ったものになっていただろう。きっかけはふたりのフランス海軍士官が、ダイバーの精鋭部隊編成を国防省から命ぜられたことだ。

そこで、任務遂行のための特殊ギアの開発がブランパンに打診された。1735年創業で現存する世界最古の時計ブランドに白羽の矢が立ったのは、技術力への信頼ゆえであろう。この困難な要請を自身がダイバーでもあった当時のCEO、ジャン–ジャック・フィスターは受諾する。未知のプロジェクトは1953年、世界初のモダンダイバーズウォッチへと結実した。

1953-the-first-fifty-fathoms-and-its-history-2_trim.jpg

当時のブランパンCEO、ジャン-ジャック・フィスター。自身もダイバーであった彼の理解があってこそ、名品は生まれた。

blancpain_03_Blancpain_Fifty Fathoms_MIL_SPEC_II_US.NAVY_1959.jpeg

アメリカ海軍に納入された60年代の「フィフティ ファゾムス」軍用モデル。文字盤に「US NAVY」の文字が見える。

---fadeinPager---

「フィフティ ファゾムス」の大きな特徴は、今日のダイバーズウォッチの定義となっている、ロック機構付きの回転ベゼルと耐磁性に加え、視認性に優れた黒文字盤に夜光塗料付きの大きなインデックスを備えていたことである。53年以前にもダイバーズウォッチは存在していたが、「フィフティ ファゾムス」が現代まで続くモダンダイバーズウォッチの元祖と言われるのはそれが所以である。

「フィフティ ファゾムス」がいまなお時代の先頭を走るコレクションであることを象徴するのが、新作「フィフティ ファゾムス テック ゴンベッサ」だ。初代誕生から70周年を祝うとともに「ゴンベッサ」海洋プロジェクト10周年を賀する記念モデルだ。テック=高度なテクニカルダイビングを視野に入れた新しいシリーズの、ファーストモデルでもある。 

blancpain_04_046ok-b.jpeg

「フィフティ ファゾムステック ゴンベッサ」/テクニカルダイビングに関わる新しいライン「フィフティ ファゾムステック」の第一号モデル。開発段階では、「ゴンベッサⅤ&Ⅵ」のミッションの一部として約50日間、水深120mで潜水技術者らに着用させるなど過酷な環境でのテストをクリアした。最大3時間計測可能な特別な針やベゼルの目盛りのほか、文字盤は光の約97%を吸収するアブソルートブラック仕上げ。自動巻き、チタンケース、ケース径47㎜、パワーリザーブ約120時間、シースルーバック、ラバーストラップ、300m防水。¥3,872,000

---fadeinPager---

海洋保護の啓蒙活動を目的とした「ブランパン オーシャン コミットメント」の取り組みとして、海洋生物学者で水中写真家でもあるローラン・バレスタが主宰する「ゴンベッサ」プロジェクトとは創設時からパートナーを務める。

このプロジェクトでは深海での研究活動に、呼気を循環再利用する閉鎖回路型リブリーザーを採用した。泡音を出さず海洋生物により接近できるだけでなく、長時間の潜水も可能になる。従来のダイバーズウォッチがカバーしていないこの領域を「テック ゴンベッサ」は初めて意識した。新機軸の“3時間で1周する針”と、対応する目盛りを刻んだ逆回転防止ベゼルで、前例のない長い潜水時間を計測可能にしたのである。

blancpain_05_gombessa_ii_french_polynesia_2014_claurent_ballesta.jpg
blancpain_06_gombessa_v_laurent_ballestaccaroline_ballesta_andromede_oceanologie_gombessa.jpg

テクニカルダイビングの高等技術を駆使し、深海での調査研究活動を行うローラン・バレスタらのプロジェクト。「ゴンベッサ」のタイトルは、生きた化石=シーラカンスの生息地であるコモロ諸島での呼び名に由来している。

---fadeinPager---

受け継いだ不変の意匠と、進化を続ける複雑機構の技

確かな機能性を有する一方で、「フィフティ ファゾムス」はダイバーズウォッチのデザインを牽引してきたコレクションでもある。細身のベゼルで洗練さが光る「バチスカーフ」においては、フライバック・クロノグラフ、ムーンフェイズ、コンプリートカレンダーといった、従来のダイバーズには見られない複雑機能も搭載してみせる。「フィフティ ファゾムス」がもつ魅惑の振れ幅は広く、とてつもなく深いのである。

blancpain_07_079ok-b.jpeg

「フィフティ ファゾムスオートマティック」/現代的なダイバーズウォッチのルーツとしてゆるぎない評価を有する「フィフティ ファゾムス」の定番モデル。不変のデザインを受け継ぎながらも、5日間のロングパワーリザーブや耐磁性能を備えるなど、時代に即した進化も忘れない。近年は軽量かつ耐圧性に優れたチタン製のケースなどバリエーションも増えている。ともに自動巻き、ケース径45㎜、パワーリザーブ約120時間、セイルキャンバスストラップ、300m防水。右:SSケース。¥2,112,000 左:チタンケース、シースルーバック。¥2,288,000

blancpain_08_171ok.jpeg

「フィフティ ファゾムス バチスカーフコンプリートカレンダー ムーンフェイズ」(右)/日付、曜日、月を表示するコンプリートカレンダーに加え、顔を描いたオーソドックスなスタイルのムーンフェイズを装備する。「バチスカーフ」とはそもそもスイスの物理学者オーギュスト・ピカールの発明した深海探査艇の名前。ブランパンは、数々の冒険を象徴するこのネーミングを1950年代末に初めて採用し、タウンユースやレジャーにも適したダイバーズウォッチとして発売した。自動巻き、チタンケース、ケース径43㎜、パワーリザーブ約72時間、セイルキャンバスストラップ、300m防水。¥2,299,000

「フィフティ ファゾムス バチスカーフフライバック クロノグラフ」(左)/ボタンのひと押しでクロノグラフ針のリセット・再計測を瞬時に行うフライバック機能を搭載。サンバースト仕上げを施したトロピカルグリーンの文字盤、同心円の幅を切り替えたスネイル仕上げのサブダイヤルと、繊細なつくり込みが光る。リキッドメタルで描いた目盛りを備える逆回転防止ベゼルとケース本体はいずれもセラミック製で、耐傷性にも優れる。自動巻き、セラミックケース、ケース径43.6㎜、パワーリザーブ約50時間、セイルキャンバスストラップ、シースルーバック、300m防水。¥2,475,000

---fadeinPager---

関西エリア初となる路面店が大阪にオープン

「ブランパン ブティック 大阪心斎橋」が4月22日にオープンした。ラグジュアリーブランドが立ち並ぶ御堂筋に面した、西日本エリアではブランド初となる路面店は、総面積約115㎡を誇り、男女で楽しめる充実の品揃えも注目だ。

blancpain_09_SHINSAIBASHI Boutique-012.jpg

ブランパン ブティック 大阪心斎橋


住所:大阪府大阪市中央区南船場3-11-18 郵政福祉 心斎橋ビル 1F
TEL:06-6281-1735
営業時間:11時~20時 不定休

問い合わせ先/ブランパン ブティック銀座 TEL:03-6254-7233 
www.blancpain.com