大巻伸嗣の個展から『アレックス・ダ・コルテ 新鮮な地獄』展まで【Penが選んだ今月の展覧会2選】

  • 文:住吉智恵(アートプロデューサー)
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空間の変容とともに紡ぎだす、⽣と死が円環を成す死⽣観

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『Liminal Air Space-Time』2020年 展示風景:「存在のざわめき」関渡美術館(台湾/台北、2020年) photo: Mind Set Art Center[参考図版]

空間全体を大きく変容させ、観る人を異世界に誘う幻想的なインスタレーションで知られる、大巻の東北地方初の個展。近年の代表作のひとつ、一枚の薄い布の波打つような有機的なムーヴメントが身体感覚を呼び覚ます『Liminal Air Space-Time』シリーズほか、新作インスタレーションを中心に展示する。青森県各地の風物や自然、信仰などを取材し、土地の人々の声に耳を傾け、生と死が円環を成す死生観にたどり着いた作家が紡ぐ再生と創造の物語に期待したい。

『大巻伸嗣̶地平線のゆくえ』

開催期間:~10/9
会場:弘前れんが倉庫美術館
TEL:0172-32-8950
開館時間:9時~17時 ※入館は閉館の30分前まで
休館日:火曜日 ※5/2、8 / 1は開館
料金:一般¥1,300
www.hirosaki-moca.jp

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アメリカ消費文化のポップと、現実社会の陰鬱が共存する世界

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『The Open Window』2018年 © Alex Da Corte studio

ダ・コルテが人気アニメのキャラクターや美術史上の人物に扮し、メディアが伝える「イメージ」とはなにかを問いかける本展は、アジアの美術館で初となる個展。アメリカの消費文化のポップさと分断の進む現実社会の陰鬱さが次々と押し寄せる、まさに真新しい蟻地獄のような大型映像インスタレーションが11点。なかでもフィラデルフィア美術館所蔵の彫刻家ブランクーシのアトリエを模した部屋を舞台に、デュシャンになりすました作家が登場する映像作品は秀逸だ。

『Alex Da Corte Fresh Hell アレックス・ダ・コルテ 新鮮な地獄』

開催期間:4/29~9/18
会場:金沢21世紀美術館
TEL:076-220-2800
開館時間:10時~18時 ※金、土は20時まで 
休館日:月曜日(7/17、9/18は開場)、5/14、7/18
料金:一般¥1,200
www.kanazawa21.jp

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※この記事はPen 2023年6月号より再編集した記事です。