「もし電気を消したなら...」我が物顔でぞろぞろ、NYネズミ事情にTikTok戦慄

  • 文:青葉やまと

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 <マンションのキッチンに、巨躯のネズミがぞろり。ニューヨークの闇を収めた動画が話題になった>

一見して輝かしいニューヨークの街だが、庶民からセレブまで住人の多くがネズミの被害に頭を抱えているようだ。

ある住宅活動家がニューヨークの公営住宅に実際に住み、その実情を収めたTikTok動画を公開すると、1ヶ月で30万回以上再生される関心を集めた。

動画ではキッチンのシンクに4〜5匹の大きなネズミが出没し、入れ替わり立ち替わりキッチンを探索している。いずれも大ぶりの体で、大きいものでは人間の成人の握りこぶし1つから2つ分ほどあるように見える。

彼らは鼻をひくつかせながら、ミトンを嗅ぎ回り、シンクの縁をうろつき、洗剤のあいだを抜け......といった具合でゆうゆうとあちこちを物色している。フライパンの内外を歩き回ったり、洗いかけの食器に群がったりしているものもあり、衛生状態が懸念される。

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「耐えられない!」視聴者は悲鳴

動画は日中に撮影したものだが、マンションである以上、夜間もネズミと一緒に暮らすことになる。ある視聴者は動画に対し、「夜電気を消したらどうなるか想像もつかない」とコメントした。別の視聴者は「耐えられない!! (自分なら)マンションも室内に置いてある物もぜんぶ諦める!!」とコメントしている。

この動画は、ニューヨーク市住宅公社が供給する公営のマンション内で撮影された模様だ。米メディアのヴァイスは、アメリカの階級格差を象徴する問題として取り上げている。

ただし、ニューヨークのネズミ事情は非常に深刻だ。公営住宅ばかりでなく、高級住宅街やセレブの住むマンションにも被害が広がっている。

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ジュリア・フォックスがネズミとの「同居」を告白 1000万再生のバズ動画に

ときに大胆なファッションを披露し、お騒がせ女優としても知られるようになったジュリア・フォックスも、ネズミに頭を抱えるニューヨーク住人のひとりだ。

彼女はニューヨークのマンションの自宅を紹介するルームツアー動画をTikTokで公開しており、1ヶ月で1130万回以上再生されるバイラル動画となった。

このなかで彼女は、アメリカには多くのホームレスの人々がいるなか、「富の誇示」をすることが好きではないため、意図してつつましいマンションに住んでいると語っている。幼い息子のバレンティーノ君と暮らす自宅は、あちこちにモノがあり生活感こそ漂うが、清潔に保たれているように見える。

しかし、自宅を一通り紹介した彼女は動画の最後に、「ちょっとしたネズミの問題」があると打ち明ける。「夜寝ているあいだに、息子が床に落としたパンくずを片付けてくれるから感謝してる。だからうん、当面はネズミを追い出すつもりはないわね」と彼女は語る。

さらに彼女は動画の概要欄を通じ、「それから誤解のないように言っておくと、ネズミは1匹だけだし、それに可愛いからね(笑顔とハートの絵文字)」と補足した。

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もはやニューヨークのステレオタイプに

きらびやかな大都市だが、地区や住まいのグレードによっては、実際に住んでみるとネズミとの戦いになる。このような事情は、もはやアメリカ人のあいだでは、ニューヨークのよく知られたイメージになっているようだ。

ミレニアル世代のあるカップルは、ニューヨークに移り住んだ当時の思い出を米CNBCニュースに語っている。いまでこそインフルエンサーとして成功し、年収が6桁ドルに達した二人だが、家賃の安いニューヨークのマンションに転がり込んだ当初は衝撃の連続だったという。

2017年当時、食品や日用品に使える予算は、二人を合わせても週に40ドル(約5400円)ほどだった。物価の高いニューヨークでは考えられないほど限られた金額だ。当然、家賃も節約を迫られる。

カップルのひとり、絵画を描いて生計を立てていたというルーカス・ボノーニ氏は、CNBCに当時をこう振り返る。

「まあひどいもので、悪夢そのものでした」「ニューヨークのステレオタイプのすべてを目にしましたね。ネズミ、ゴキブリ、そして黒カビ。まるで地下鉄の駅に住んでいるような感覚でした」

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レストランは週に3軒のペースで営業停止

パンデミック中に空き家が増えたことで、ネズミ被害はアッパーイーストサイド地区にも広がった。このエリアは、ニューヨーク中心部のマンハッタンでも治安の良い地区として知られる。セントラルパークに面し、裕福な居住者を惹きつけ、ファッショナブルなショップとレストランが並ぶ町並みで有名だ。

そんな華やかなエリアでもネズミの苦情が絶えないほど、ニューヨークのネズミ事情は深刻なものとなっている。

ネズミの被害は住宅に留まらない。米情報サイトの「パッチ」ニューヨーク版は、保健所の立ち入り検査を受けて営業停止処分を受けたレストランが、2月前半の2週間だけでニューヨーク市内で6軒に及ぶと報じている。

処分は害虫以外の衛生状況も加味した点数制で判断されるが、こうした店舗の多くで、ハエ、生きたネズミ、ネズミの生息している痕跡などが検出された。

眠らない街・ニューヨークで夜通し活動しているのは、どうやら人間だけではないのかもしれない。

@kwajohousing Another NYCHA property 🗽🐀😳 #fyp #foryou #housing #nyc #newyork ♬ original sound - Kwajohousing

@juliafox

Come with me on a very underwhelming apartment tour! also to clarify I have only ONE mouse and he’s cute 🥰

♬ original sound - Julia fox

ジュリア・フォックスがネズミとの「同居」を告白

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※この記事はNewsweek 日本版からの転載です。