スタイリッシュなインテリアのショールームや洒落た日用雑貨が所狭しと並ぶ棚のすぐ横に、むき出しのトイレや剥がれた壁紙の荒廃した部屋が……。ライフスタイルショップとしてお馴染みのイケアが、イギリスに構える4店舗でそんなショッキングな展示を行っている。
これは同店がホームレスのチャリティ団体シェルターとコラボレーションで行なっているキャンペーン「リアルライフ・ルームセッツ」の一環で、家を失った人が暮らす仮住まいの様子を再現したものだ。
イギリスでは現在、208人に1人は自宅がない。5人に1人は家を失う可能性を懸念しており、半分はもしも現在の住居を失ったら次の住処を見つけることは困難だろうと考えているという。さらには昨今の家賃高騰を受けて18%の人々は新たに副職を持ち、17%は1日の食事の回数を減らしている。
行政は、家を失った人や家族に、仮の住まいとして簡易ホテルなどの部屋を充てがっている。しかし次のステップとなるはずの公共住宅への住み替えが、数が圧倒的に不足しているために見通しがつかないことがほとんどだ。いつまで経っても「仮」住まいから移れずに、住人の数に見合わない狭い部屋や劣悪な環境下で先の見えない不安な生活を強いられている。
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展示を通して現状を伝える
この状況を打破すべく、イケアとシェルターはこの展示をを通して人々に現状を伝え、2030年までに9万戸のホームレス用住まいの設立するように呼びかけている。「賃貸住宅の家賃はこれまでにないほど急騰し、物価の上昇は止まりません。私たちは今後さらに家を失う人々が増加することを非常に心配しています。この解決策は実はとても簡単です。現政権にこの事実を直視するように働きかけ、新たに質の良い公共住宅の建設を進めるように呼びかけることです」とシェルターのチーフ・エグゼクティブのポリー・ニート。
展示が行われているロンドンのハマースミス、バーミンガム、ワリントン、ブリストルの4店舗はいずれもイギリス内でホームレスの数が多いとされている場所から至近という。厳しいインフレーションの終わりが見えず、誰にとっても他人事ではなく、足を止めて展示に見入る人も多い。
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