「まずは体重測定から…」映画『スペンサー ダイアナの決意』で注目 英国王室のクリスマスの過ごし方とは

  • 文:宮田華子

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@neonrated – YouTubeのキャプチャ画像

いよいよクリスマス目前。イギリスでは毎年クリスマス(12月25日、現地時間)の午後3時から、国王(女王)のクリスマスメッセージが放送・配信される。今年はチャールズ三世が初めてその役も担うことになる。どんなメッセージになるのか注目されているが、今月はハリー王子夫妻のNetflixドキュメンタリーが公開されたこともあり、これまで以上に英国王室に視線が集まるクリスマスとなっている。

王室では例年、ノーフォーク州(イングランド)にある国王の地所内にある私邸「サンドリンガム・ハウス」に集合し、一緒にクリスマスを過ごすのがならわしだ。

王室のサンドリンガム地所内Fにある私邸「サンドリンガム・ハウス」。時期限定で一般公開されている。

この秋日本公開となった映画『スペンサー ダイアナの決意』(2022年10月日本公開)は、ダイアナ妃の視点からロイヤルファミリーのクリスマスを描いた作品だが、もうひとつの主役はロイヤルファミリー・クリスマスの「決まりごとあれこれ」。大小さまざまなルールや不文律があることを、この映画で知った人は多いはずだ。

そこで「驚きの習慣」から「ちょっと意外なルール」まで、興味深い英国王室のクリスマスについて下記に紹介する。ロイヤルたちのクリスマスの背景を知ると、国王のスピーチもより味わい深いかもしれない。

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12月24日~26日、予定びっしりの3日間

今年からロイヤルファミリー・クリスマスのホスト役はチャールズ三世とカミラ王妃が務めるが、長年に渡りロイヤルファミリー・クリスマスのホスト役だったエリザベス女王と夫・エジンバラ公フィリップ殿下は、クリスマスの準備のため、数日前に電車でサンドリンガム入りをすることが多かったそう。

2019年、サンドリンガムに電車で向かうエリザベス女王。コロナ禍の2年間、サンドリンガムでの「ロイヤルファミリー・クリスマス」は開催されなかったので、女王にとって、これが最後のサンドリンガムでのクリスマスとなった。

しかし他のメンバーたち(=ゲスト)は「前のり」の必要はなし。12月24日のクリスマスイブにサンドリンガムに到着することになっている。

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■まずは「体重測定」から

サンドリンガム・ハウスに到着したゲスト全員が最初にするのは「体重測定」。到着時と帰宅時に必ず体重を測らなくてはならないそう。映画『スペンサーダイアナの決意』の中で「1847年、アルバート公が始めた習慣」と紹介されており、エリザベス女王も継続して行っていた。体重測定の目的は「クリスマスのご馳走をどれだけ楽しんだか?」が数字で分かるようにするためであり、「3ポンド(約1.4kg)増えるのが理想的」と言われている。映画ではダイアナ妃が体重測定を拒否しようとするシーンが描かれている。

■クリスマスプレゼントはクリスマスイブの午後に開ける

一般的にはクリスマスプレゼントを開けるのは25日。しかしヴィクトリア女王の夫アルバート公を始めドイツ出身者が多い英国王室では、ドイツの伝統に敬意を表し、24日にプレゼントを開ける。

クリスマスプレゼントは子供だけでなく大人にも贈るのがイギリス流。王室だけに豪華なプレゼントを毎年贈りあっているように想像されがちだが、意外にも英国王室では「どこか斬新」かつ「安価な品」を送り合うという暗黙のルールがあるそう。

つまり包みをあけたとき、皆でクスっと笑えるプレゼントを選ぶことを期待されている。毎年のことだけに、これはかなりの難題だ。

■一日に何度も着替える

ホストもゲストたちも食事や行事に合わせた服装をしなくてはならないため、一日に何度も着替えることになる。クリスマスの予定は朝食、昼食、晩餐、アフタヌーンティー、教会での礼拝、くつろぎの時間、野外でのアクティビティと盛りだくさんだが、各々「ふさわしい服装」は異なるので、その度ごとに「お着替え」となるわけだ。

クリスマス期間中にフォーマルな食事会が催されるが、ドレスコードはホスト役の衣装に合わせたもの。これまでは男性陣はブラックタイ、女性陣は裾の長いイブニングドレスの着用が必須なことが多かったそう。

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『スペンサー ダイアナの決意』の晩餐会シーン。ちなみにフォーマルな食事会には子供は出席しない。@neonrated – YouTubeのキャプチャ画像

ゲストはスタイリストと相談の上、何パターンもの衣装とともに「サンドリンガム入り」する。たった3日間の「家族の休暇」のはずだが、「大旅行」レベルの大荷物に違いない。

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■セント・メアリー・マグダレン教会のクリスマス礼拝へ

クリスマスの朝は、サンドリガム・ハウスからほど近いセント・メアリー・マグダレン教会でのクリスマス礼拝に参列するのもきまりだ。

セント・メアリー・マグダレン教会の内部。荘厳な雰囲気。

教会には必ず全員で「歩いて」向かう。このとき、街の人たちと会話をしたり、教会入りする様子を報道陣に公開するのも毎年行われていることだ。

2019年のクリスマス、セント・メアリー・マグダレン教会を訪れたロイヤルたち。後半に、街の人たちと話すロイヤルたちが写っている。これもロイヤルたちの大事な「仕事」だ。

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■「クリスマスディナー」は13時きっかりから

「クリスマス“ディナー”」というと夕食を思い浮かべるかもしれないが、「ディナー」とは夕食だけでなく1日のメインの食事を指す言葉だ。イギリスにおけるクリスマスのメインの食事は昼食に当たる。クリスマス礼拝を終えた後、皆一斉に着替えをし、13時からクリスマスディナーが始まる。

クリスマスイブのディナー(←これは晩餐)は贅を尽くしたメニューが用意されるが、クリスマスディナーはイギリスの多くの一般家庭と同様「七面鳥のロースト」がメインと決まっている。

食事は2時間内に終了し、15時からBBCで放送される「国王(女王)のクリスマスメッセージ」を全員揃って視聴するも「守るべきスケジュール」の一つだ。

昨年の女王のクリスマスメッセージ(全編、日本語字幕つき)。メッセージは英国および英連邦の人たちに向けて発信される。

■ディナーの後にクリスマス・アフタヌーンティー

国王のスピーチの後はアフタヌーンティーが待っている。七面鳥をたっぷり食べた後のアフタヌーンティーは…なかなかきつそうだ。

■26日はビュッフェ式の朝食から

26日は「ボクシングディ」と呼ばれ、この日も祝日だ。クリスマス明けの朝はビュッフェ式の朝食からスタートするのがロイヤルファミリーのスタイル。たっぷり朝食を食べた後は外に出て、散歩をしたり、キジ撃ちをしたり、また乗馬したりと王室地所内の豊かな自然の中で過ごす。

サンドリンガム・ハウスの周りには、雄大な自然が広がる。

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チャールズ三世が「簡略化」する?

このように例年「食事」と「お着換え」に翻弄する3日間を過ごす王室メンバー。「OK!(オンライン版)」によると、チャールズ三世はエリザベス女王が続けていたクリスマスのしきたりを継続しつつも「様々な面で簡略化を図る」と言われている。具体的にはドレスコードを緩くしたり、フォーマルな場面を減らしたい意向のようだ。

チャールズ三世はモダンな王室を目指している様子。

外野として眺める分には豪華で素敵なロイヤルたちのクリスマス。でも実際に「ゲスト」として参加するのは大変そうだ。

映画「スペンサー ダイアナの決意」では、辛そうなママを見て心を痛める息子たち(ウィリアム王子&ハリー王子)の様子も描かれている。

ちなみにゴシップを振りまき続けているハリー&メーガン夫妻は、3年ぶりのサンドリンガム・クリスマスに招待はされているものの、「きっと来ない」と言われている。

こんな「4人ショット」は、当分見られそうもない…。

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映画「スペンサー ダイアナの決意」の予告編はこちらから

映画では、1991年のクリスマスが描かれている。1996年にチャールズ皇太子(当時)と離婚したダイアナ妃。すでに夫婦関係は崩壊していただけに、彼女にとってはロイヤルファミリーと共に過ごすクリスマスが苦痛だったのは頷ける…

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【動画・画像】「まずは体重測定から…」映画『スペンサー ダイアナの決意』で注目 英国王室のクリスマスの過ごし方とは

王室のサンドリンガム地所内Fにある私邸「サンドリンガム・ハウス」。時期限定で一般公開されている。

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12月24日~26日、予定びっしりの3日間

2019年、サンドリンガムに電車で向かうエリザベス女王。コロナ禍の2年間、サンドリンガムでの「ロイヤルファミリー・クリスマス」は開催されなかったので、女王にとって、これが最後のサンドリンガムでのクリスマスとなった。

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『スペンサー ダイアナの決意』の晩餐会シーン。ちなみにフォーマルな食事会には子供は出席しない。@neonrated – YouTubeのキャプチャ画像

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■セント・メアリー・マグダレン教会のクリスマス礼拝へ

セント・メアリー・マグダレン教会の内部。荘厳な雰囲気。

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2019年のクリスマス、セント・メアリー・マグダレン教会を訪れたロイヤルたち。後半に、街の人たちと話すロイヤルたちが写っている。これもロイヤルたちの大事な「仕事」だ。

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■「クリスマスディナー」は13時きっかりから

昨年の女王のクリスマスメッセージ(全編、日本語字幕つき)。メッセージは英国および英連邦の人たちに向けて発信される。

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サンドリンガム・ハウスの周りには、雄大な自然が広がる。

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チャールズ三世が「簡略化」する?

チャールズ三世はモダンな王室を目指している様子。

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映画「スペンサー ダイアナの決意」では、辛そうなママを見て心を痛める息子たち(ウィリアム王子&ハリー王子)の様子も描かれている。

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こんな「4人ショット」は、当分見られそうもない…。

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映画「スペンサー ダイアナの決意」の予告編はこちらから

映画では、1991年のクリスマスが描かれている。1996年にチャールズ皇太子(当時)と離婚したダイアナ妃。すでに夫婦関係は崩壊していただけに、彼女にとってはロイヤルファミリーと共に過ごすクリスマスが苦痛だったのは頷ける…

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「最も目を惹いたのはキャサリン妃」 女王国葬におけるロイヤル&ファーストレディの喪服姿をセレブライターが振り返る

文:さかいもゆる

キャサリン妃のコートドレスの装い

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(c)Alpha Press/amanaimages

現地時間で9月19日に執り行われたエリザベス女王の国葬には、世界の要人たちが参列した。女王への敬意を示したそれぞれの喪服姿は、エレガントな気品に満ち溢れていた。

最も人目を惹いたのはやはり、キャサリン皇太子妃の洗練されたコートドレスの装いだったのではないだろうか。ヴェールをあしらったツバの広いハットもよく似合っていて、ハッとするほど美しいオーラを放っていた。正直、隣りに居た女優出身でドレスアップには慣れているはずのメーガン妃より数倍も品が良く見えて、ロイヤルファミリーとしての矜持に満ちていたように思う。そして王となったチャールズの奥方、カミラ王妃も、若い頃よりずっと垢抜けた姿を披露。王妃としての威厳を見せていた。

左からメーガン妃、カミラ王妃、ジョージ王子、キャサリン皇太子妃。

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シンプルな丸首ドレスのレティシア王妃

プチプラファッションが得意でファッショニスタとしても人気のスペインのレティシア王妃は、シンプルな丸首のドレスのウエストを細いベルトでマーク。旦那様のフェリペ6世の軍服もキマっていて、お似合いの美男美女カップル。

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シャルレーヌ王妃はブローチがアクセント

モナコ公国のシャルレーヌ公妃はハイネックのブラックドレスにグレーのタイツを合わせて、胸元のブローチをアクセントに。元競泳選手で鍛えた、彼女の抜群のスタイルの良さが際立っていた。

それにしても、こうして見ていると皆足元はピンヒールなのだが、華奢なピンヒールが似合う、足首の細いこと! 足首が細いことがプリンセスになる条件なのだろうか。

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フランスのマクロン大統領夫妻

フランスのマクロン大統領と、24歳年上の妻、ブリジット・マクロン。マクロン大統領はシンプルなブラックのスーツ、ブリジット夫人は黒のコートでフェミニンな着こなしで登場。

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バイデン大統領夫妻は手をつないで参列

手を繋いで参列した、アメリカのバイデン大統領と、ファーストレディのジル・バイデン。バイデンはブラックスーツ、ジルは金ボタンのスーツに、帽子の代わりにブラックリボンのヘッドアクセサリーで正装らしさを演出していた。

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インスタの人気者、ブルネイのマティーン王子

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tmski-Instagram

ブルネイの見目麗しいプリンス、マティーン王子はスポーツで鍛えた胸筋で、堂々たるスーツの着こなしを見せた。マティーン王子はイケメン王子として女性たちの熱い視線を集めるロイヤルで、インスタグラムのフォロワーは現在232万人超えの人気者だ。

さまざまな国を代表する要人たちが自国の伝統を保ちつつ装った喪服姿は、荘厳な眺め……。後世に語り継がれるに相応しい国葬の慰めとなり、彩りとなったのだ。

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【画像】エリザベス女王の国葬に集まった、世界のロイヤル&ファーストレディの喪服姿

キャサリン妃のコートドレスの装い

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(c)Alpha Press/amanaimages

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左からメーガン妃、カミラ王妃、ジョージ王子、キャサリン皇太子妃。

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シンプルな丸首ドレスのレティシア王妃

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シャルレーヌ王妃はブローチがアクセント

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フランスのマクロン大統領夫妻

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バイデン大統領夫妻は手をつないで参列

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インスタの人気者、ブルネイのマティーン王子

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