サーフィン仲間と会話が盛り上がるのは、次の波を待ってる間。アイデアが生まれるのも、緊張から緩和に移る瞬間だと思います。

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    47 小橋賢児|クリエイティブディレクター

    各界で活躍する方々に、それぞれのオンとオフ、よい時間の過ごし方などについて聞く連載「MY Relax Time」。第47回は、人気俳優として活動後、芸能活動を休止。現在ではクリエイティブディレクターとして世界規模のイベントを多数手がけ、2025年大阪・関西万博の催事企画プロデューサーにも抜擢され注目を集める小橋賢児さんです。

    写真:殿村 誠士 構成:舩越由実

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    小橋賢児●1979年、東京都生まれ。88年に8歳で芸能界デビュー。俳優として数々のドラマ・映画に出演し活躍後、2007年に突如休業。アメリカをはじめ世界中を旅した後、帰国。クリエイティブディレクターとして2020年東京パラリンピックの閉会式の総合演出、未来型花火エンターテイメント「STAR ISLAND」の総合プロデュースなどを務める。著書に『セカンドID―「本当の自分」に出会う、これからの時代の生き方』(きずな出版)。

    印象的だった最近の仕事は、音楽プロデューサー小林武史さんとの千葉でのイベント『百年後芸術祭』の準備です。11月にはプロローグ的なイベントも行いました。100年後のことを考える芸術祭で、その中でテーマにしているのは環境と欲望です。なぜ100年後かというと、100年後には僕らはもういない。利他的な考え方ではありますが、その時の地球環境のことを考えないのはサステイナブルじゃないという想いをもとにしています。

    ただ、環境をよくしていくことは大事だけど、その取り組みが抑制や抑圧になると続かない。人間的な欲望を環境のために我慢しろというと、どこかでひずみが生じる。その矛盾した欲望を認めながらも、いかによりよい環境をつくっていくかをテーマにしています。

    イベントをつくる時はいつも旅をしている感覚です。最初の構想として絵は描くんですが、企画書ベースのまま最後まで進めるのではなく、直前まで変えるべき箇所がないか粘っていきたい。最初からピースがはまっているというより、まったく関係ないピースを紡ぎながらストーリーをつくる感じです。なので実際そんなプロセスを見てると、みんな不安になるんじゃないかな(笑)。でも、旅ってそういうもの。世界の常識と自分の常識が違いすぎて本当にたどりつけるか不安になる。そのプロセスでいろんな出会いや奇跡に助けられ、時に想像を超えるセレンディピティが起こって着地できるんです。

    僕の会社のビジョンは「全人類が自分自身の人生を創るクリエイターとなり、輝く星のように生きる未来」です。創造する権利は誰にでも与えられていて、その人にしかつくれない物語を築いてほしいと思っています。僕たちにできることは気づきのきっかけになるような場、固定概念を外してくれるような非日常空間を提供することだと考えています。

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    仕事と同じように、休日もさまざまなことにトライしています。最近では1カ月間デトックスして、体脂肪率4.4%になりました。ストイックとはまた違うんです。ストイックというのは日常的に継続すること。僕は、ただ自分自身を通して実験しているだけ。1カ月デトックスした後は、甘いものも食べたしフルコースも食べました。本当は徐々に普通の食事に戻さないといけないんですけどね(笑)。

    日常的に瞑想もしますし、休日はサーフィンをしたり、山に登ったり、積極的に旅にも出かけます。最近だと仕事の一面でもありますが、雪山で一週間過ごしました。リラックスってのんびりすることだとイメージする人もいますが、実は違うんです。たとえば、過激なエクストリームスポーツは、一見アクティブで興奮しているように見えるけど、実はめちゃくちゃリラックスしている。極限状態では完全に自然と一体になるんですよ。ある意味で瞑想と同じなんです。それに、やり遂げた後のリラックス感もすごいんです。

    他にも、SNSを一時的に止めたり、2年間ビーガン生活をしたり。デトックス生活では、人間同士の関係には食があると気づき、「共食」の必要性を感じました。デトックスで得た気づきは、これから携わるプロジェクトにも取り入れていきたいですね。

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    僕のまわりのイベント関係者には、たばこを吸う人も多いです。休憩時間のスモーキングタイムで、話が盛り上がって仲よくなりやすい。なので、話をするためにわざわざ喫煙所に行くこともあります。10年以上前から僕自身は禁煙しましたけど、そう考えると喫煙者のコミュニティは羨ましいです。直前まで会議していたのに、その緊張が緩和したのか、喫煙所でたばこを吸いながら新しいアイデアが生まれることもあります。ゴルフやサーフィンも同じで、ゴルフは移動の時に話ができますし、サーフィンも波待ちの時に話が盛り上がるんです。緊張と緩和の差で生まれてくるなにかがあるんでしょうね。

    どうしても喫煙者と非喫煙者で、場が切り分けられるけど、お互いがリラックスして交流できる場ができるといいですね。喫煙所はどうしても喫煙者という目線で見られるけど、非喫煙者の目線で、両者がリラックスして交流できる場ができたらいいかもしれないですね。

    問い合わせ先/JT
    www.jti.co.jp