各界で活躍する方々に、それぞれのオンとオフ、よい時間の過ごし方などについて聞く連載「MY Relax Time」。第45回は、高い作曲センスが評価されさまざまなアーティストやアイドルに楽曲提供をしながら、ソロ活動でも若い世代の人気を集めるシンガーソングライターのキタニタツヤさんです。
写真:齊藤誠一 スタイリスト:安本 侑史 ヘアメイク:鈴木竜也 構成:舩越由実
最近の仕事で糧になったのは、ゲームアプリ『プロジェクトセカイ』内のユニットへの楽曲提供ですね。初めてあらゆる工程を友人と半々で分担して曲づくりをしました。ひとりで曲をつくると完璧主義っぽくなっちゃう自分が、信頼している友人と曲をつくることで、よくない部分を矯正する装置になるというか。いい意味で不完全さを許容できるようになり、許容範囲が広がっていく感覚です。仕事って、できた人間になるための過程だなと思います。
40歳くらいになった時に、年下の子にも怒ったりダメ出ししたりしてもらえるような、まわりに恵まれる歳の重ね方をしたいですね。それに昔、自分がアーティストに憧れたように、いま、自分の音楽を聴いてくれている若い子の中で、いい曲を書く子がアーティストとして現れて「ガキの頃好きでした!」と言って活躍してくれたら嬉しいですね。音楽が好きで得意だから、表現したいことを音楽でやっているけど、大切なのは人生です。音楽を使って自己実現をさせてもらってます。
10月のZeppツアーのタイトルは『UNKNOT / REKNOT』です。結び目を結び直すという意味で名づけています。セットリストは原点回帰で最初に好きだったものに立ち返ったうえで、いまに至るまで進んできた道を振り返ることができる内容にしました。昔から知ってくれてる人には懐かしく、新しく知った人にはいろんな曲をつくっていることを再発見してもらえるライブができたらいいですね。
休む時は仕事の合間にほっと一息、というより長時間になります。「今日はもう曲をつくれない!」という時は買いだめしていた漫画を読んだり、YouTubeで動画を観たりnoteの記事を読んだりネットサーフィンしています。最近面白かったのは、カメラマンが特殊な撮影手法をネタばらししたnoteの記事です。カメラのことはわからないけど、音楽と映像はセットと考えているので、なにかしら映像については頭にありますね。何年か後にこの手法をミュージックビデオで使っているかもしれないです。自分の中に「こういう曲をつくりたい」というイメージがいつもあって、なにを考えてても音楽につながっていきます。
コーヒーを飲んでほっと一息みたいな“なにもない時間”を楽しめるようになるのは、10年後くらい、人間性が醸成されてきてからなんだと思います。いまは若くて脳みそが元気だから、ファストフードを食らうように常に情報を入れているほうが好きですし、気持ちがいいですね。リラックスタイムというと、情報を取り入れる時かもしれないです。
いくつになっても声の変わらないアーティストって素晴らしいじゃないですか。喉に気を遣う努力のひとつでとして、“たばこを吸わない”という選択肢もあると思うんです。でも、自分の好きなアーティストの傾向としては、歳を重ねながら声が変わっていくほうですかね。リリースするアルバムごとに声が変わっていってほしいくらい。だから自分も声が変わることを気にせずに、酒もたばこも楽しんでます。完全に言い訳ですね(笑)。
そもそもたばこを止めようと思ったことはないし、まわりにはたばこを吸う人や気にしない人が多いんですが、たばこが苦手な人の気持ちももちろんわかります。だから、たばこを吸わない人が目の前にいる時は、おずおずと「た、たばこ、す、吸ってもいいですか?」と許可を取りますね。そんなふうに日々気にしているので、誰がたばこを吸うか吸わないかは、めっちゃ覚えています。名前、顔、年齢と同じくらいのレベルです。下の世代になるほど吸わない人が多くなるので、特に気を遣います。序盤で話したように、年下の子ともずっといい関係を築いていたいので。
『スカー』
2022年11月23日発売
【初回生産限定盤】 SRCL-12260~1 / ¥5,500(税込) / CD+BD / アナログJK仕様
【通常盤】 SRCL-12262 / ¥1,980(税込) / CD only
https://tatsuyakitani.com
キタニタツヤ One Man Tour “UNKNOT / REKNOT”
10月15日(土)東京 Zepp DiverCity(TOKYO)
10月23日(日)大阪 Zepp Osaka Bayside
10月27日(木)愛知 Zepp Nagoya
¥5,000 *ドリンク代別途必要/1Fスタンディング・2F指定席 一般発売受付中(先着順)
https://eplus.jp/tatsuyakitani
www.jti.co.jp