エコノミーでも「横になれる」――ニュージーランド航空が導入する“フルフラット”のベッドが話題

  • 文:宮田華子

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@airnz – YouTubeのキャプチャ画像。

エコノミークラスでのフライト、特に長距離便での時間は「快適!」とは言いづらい。シートの狭さだけでなく、リクライニングがフルフラット(180度平らな状態)にはならないため、眠りにつくのも一苦労、という人も多いはずだ。

しかしそんな窮屈なエコノミークラスでの空の旅が、今後変わるかもしれない。

ニュージーランド航空は、エコノミーおよびプレミアムエコノミー乗客が利用できる、フルフラットのポット型ベッドスペース「スカイネスト」を2024年までに導入すると発表。大きな話題となっている。

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2024年にボーイング社の新型機に設置される予定だ。@airnz – YouTubeのキャプチャ画像。

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足を伸ばせる3段ベッド「スカイネスト」

どこか近未来的な雰囲気が漂うポットに、スペースシャトルの内部のような印象を抱くかもしれない。「スカイネスト」は3層構造になっており、計6つのベッドが配置される。ベッドの長さは2mと足を伸ばせるサイズだ。各ベッドには枕と寝具、カーテン、USBドック、耳栓、読書灯等、「くつろぎの時間」に必要なものが完備されている。

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各ベッドにはプライバシーを守れるカーテンがついている。@airnz – YouTubeのキャプチャ画像。

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200席以上あるエコノミー&プレミアムエコノミー席に対し、機内に設置するのは「スカイネスト」1ユニット(6ベッド)のため、利用には事前予約が必要とのこと。まだ予約方法は開発中であり料金も未定だが、できるだけ多くの乗客がフルフラットの快適な寝心地を体験できるよう、「1フライト中にスカイネストを利用できるのは1回のみ」「各利用セッションは4時間」の規定は決定済みだ。

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枕やシーツは、利用者が変わるたびに客室乗務員が交換する。@airnz – YouTubeのキャプチャ画像。

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「旅に出た最初の晩が1番眠れない」―調査から生まれた快眠への取り組み

この「スカイネスト」を設置するためにはエコノミー5席分のスペースが必要だが、同社は「睡眠の大切さ」を重視し導入を決断した。

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@airnz – YouTubeのキャプチャ画像。

ニュージーランド航空のチーフ・カスタマー&セールス・オフィサーであるリーン・ジェラティ氏は「調査によると、自宅を離れた最初の夜がもっとも安眠できないことが分かっています」と語っている。

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@airnz – YouTubeのキャプチャ画像。

また最高経営責任者であるグレッグ・フォラン氏も「私たちは、睡眠、快適性、健康という点に重点を置いています。なぜなら、お客様が十分に休息をとって(目的地に)到着されることがいかに重要かを知っているからです」とコメント。「会議へ直行されるお客様も、休暇で初めて訪れる観光地へ行かれるお客様も、(到着後)即、全力で活動し始めたいはずです」。

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誰もが望む「しっかり休めるフライト」

ニュージーランド航空はすでに空席を利用して横になることができる「スカイカウチ」を導入しており、乗客に好評を得ている。

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@airnz – YouTubeのキャプチャ画像。

「スカイネスト」が運用されることで睡眠と休息を確保する機内設備がさらに整い、特に長距離フライトにおける快適さが高まるはずだ。心地良いフライトは旅行者のフットワークを軽くするもの。エコノミー乗客でも「横になれる」フライトが、世界中のエアラインに広まっていくことを期待したい。

【次ページ】「スカイネスト」を動画で紹介!

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「スカイネスト」の紹介動画。ニュージーランド航空が「エコノミークラスへのベッド設置計画」を発表したのは2020年。いよいよ2年後の導入が見えてきた。

横幅はやや狭いが、このベッドで4時間しっかり眠れたら、到着後の体調はかなり違うはずだ。

こちら↓はすでに導入済の「スカイカウチ」。空席がある場合は、シート前面を延長することでベッドに早変わりする。

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