欧米には「コーヒーテーブル・ブック」というカルチャーがある。ソファの前に置く背の低いテーブルを英語では「コーヒーテーブル」と呼ぶが、テーブルの上や下のラック部分に置くのにふさわしい、ビジュアルの美しいハードカバー本を指す。ビジュアル本の中でも、デザイン本や写真集、イラスト集などが人気だ。ソファーでくつろぐときにゆっくり眺めて楽しむだけでなく、来客の際、お茶を用意している間にパラパラめくってもらうのにも適している。そしてインテリアアイテムのひとつとして、そこにあるだけで美しいのもポイントだ。
こうした本は常に需要があるため次々に刊行され、広いスペースを取って陳列している書店も多い。また、この手の本だけを集めた書店も数多く存在する。そんなビジュアル本の中から、デザインに特化した本を紹介する。世界のデザイン事情やデザインの変遷が分かる等、内容が充実しているだけでなく、装丁の美しさも圧巻だ。海外からもネット通販で取り寄せが安易になった今、あなたのくつろぎスペースにもぜひ一冊置いてみてはいかがだろう。
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1.『On Display: 50 Posters Designed for the Hayward Gallery』
出版社:Counter Print
ロンドンのテムズ川岸にあるモダンアート美術館「ヘイワード・ギャラリー」のポスターアーカイブから、50点を厳選してまとめた本。特にイギリスのタイポグラフィーの黄金時代に焦点を当てており、ネヴィル・ブロディ、テオ・クロスビー、リチャード・ホリスなど、現代のイギリスのグラフィックデザインを代表する面々の作品が集められている。
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2.&3.『Logo Modernism』『Logo Beginnings』
出版社:TASCHEN GmbH
2015に出版された『Logo Modernism』は、1940~1980年までの約6000点ものロゴデザインを集めた本。モダニズムデザインを背景に、いかに企業ロゴ(商標)が生み出されたかを分かりやすく提示している。続編とも言える『Logo Beginnings』は今年刊行されたばかり。1800年代半ば~1940年までの6,000以上のロゴを集め、現代のロゴの起源に迫っている。
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4.『Futura: The Typeface』
出版社:Laurence King Publishing
「Futura(フーツラ)はタイポグラファー兼デザイナーであるパウル・レナー によって1927年に生み出されたサンセリフ体のタイプフェイス。Futura発表90年を記念し、2017年に刊行された本書は、Futuraの魅力を惜しみなく伝えている。Futuraは月面で初めて使われたタイプフェイスであり、スタンリー・キューブリックに愛され、またナチスのプロパガンダにも使われた。永遠のトレンド書体として生き続けるFuturaの歩んだ時代を追うことができる本だ。
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5.『Mid-century Modern: Icons of Design』
Here Design delivers new digest on Mid-Century Modern: Icons of Design https://t.co/FyGirAgQMB pic.twitter.com/smCN0PmKPo
— Alexander Silva (@alexandersilvar) August 9, 2018
出版社:Thames & Hudson
イームズの椅子や、ポール・ヘニングセンのランプ、ジョージ・ネルソンの時計など、ミッドセンチュリー(20世紀半ば)にデザインされたプロダクトの傑作を集めた本。ミッドセンチュリーデザインのファンは多く、コレクターも多い。分かりやすい説明とイラストレーションで作品を紹介。デザイン本としてはサイズが小さいので、プレゼントとしても喜ばれそうだ。
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6.『Woman Made』
@Phaidon has announced its latest coffee table must-have, Woman Made, by Jane Hall, which busts the myth that design is a man’s world. The book serves as a much-deserved celebration of the impact female designers have made. https://t.co/MNyjKcr7jr pic.twitter.com/7kit6dCT0z
— Print magazine (@printmag) August 10, 2021
出版社:Phaidon
20世紀初頭から現代まで、200人以上の女性プロダクトデザイナーを紹介。女性デザイナーに関するこれまでにない包括的な本として出版時に話題となった。レイ・イームズ、アイリーン・グレイ、フローレンス・ノール、イルゼ・クロフォード、フェイ・トゥーグッド、ナタリー・デュ・パスキエ等、過去から現在、50カ国以上200人以上のデザイナーを取り上げ、デザインの歴史と女性を照らし合わせて解説している。デザインが「男性の仕事」と考えられていた時代があったものの、その壁を打破してきた女性デザイナーの力強さが感じられる本だ。
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7.『The Atlas of Furniture Design』
出版社:Vitra Design Museum
スイスの家具メーカー「ヴィトラ」のドイツ工場内にあるミュージアムが出版した家具デザインについての本。近代家具デザインの歴史に関する「参考書」と言える内容だ。近代初期の工業化の時代からデジタル時代まで、さまざまなテーマを網羅し、540人以上のデザイナーによる1740点の家具と2800点以上の図版を収録している。デザイナーの経歴、インフォメーショングラフィックス、書誌情報、メーカーや素材の用語集を収録した付録がついているのも嬉しい。家具デザインに興味がある人にとって垂涎ものの本だ。
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8.『Jasper Morrison: A Book of Things』
出版社:Lars Müller Publishers
シンプルだけれどどこかひねりがあり、柔らかさをたたえたプロダクト― そんな作品を生み出し続けるデザイン界の巨匠、ジャスパー・モリソン。本書は彼の幅広い活動領域についてプロダクトとプロジェクトを中心に紹介し、短いテキストが添えられている。2002年に出版された『Jasper Morrison: Everything but the Walls』の続編とも言える本だ。
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9.『Ed Fella: A Life in Images』
Unit Editions’ stunning new book spans 60 years of Ed Fella’s career, from his commercial work to his more recent artistic practice https://t.co/u1F0fuWeLs pic.twitter.com/wYqVVfn3x4
— Creative Review (@CreativeReview) March 22, 2022
出版社:United Editions
アメリカのグラフィックデザイナー&イラストレーターであるエド・フェラ。実験的なデザインと描き文字によるタイポグラフィーで知られた彼の60年に渡るキャリアをまとめた本。自身の仕事・作品についてビジュアルエッセイの形で綴られている。デザイン、アートワーク、スケッチブック、そして一目見て「フェラの作品」と分かるタイプを使ったフライヤー等が多数掲載されているので見応え・読み応えがある。フェラについて知りたいならぜひ本書を手に取ってほしい。
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10.『The Art of Looking Sideways』
出版社:Phaidon
2006年に惜しまれて亡くなったイギリスデザイン界の巨匠アラン・フレッチャーによる「ビジュアル・インテリジェンス」の入門書というべき本。72章で構成され、知覚、色、パターン、言葉、文字、アイデア、創造性、カルチャー、スタイル、美学等について、フレッチャーのウィットに富んだ深い考察とあくなき探求心の一端がこの本から読み取れる。
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そこにあるだけで嬉しくなる美しいデザイン本。インスピレーションを与えてくれるだけでなく、その佇まいが部屋の雰囲気も変えてくれるはずだ。