豪華さより趣味のよさ、 5ツ星「パレスホテル東京」新スイートルームで感じた現代生活

  • 写真・文:高橋一史
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2022年3月5日からスタートした、パレスホテル東京の「プレミアスイート」。

アフタヌーンティー試食会などにお招きいただくことのある丸の内の「パレスホテル東京」。
スイートルームが増設されたと聞き見に行ってきました!
なんですか?泊まっちゃいませんよ、そんな贅沢できませんよ、取材ですよ、ええ。

「フォーブス・トラベルガイド」ホテル部門で、最高ランクの5ツ星を2022年度まで7年連続で獲得している一流どころ。
(同ガイドの22年度版東京エリアでは、外資を含め9つのホテルが★★★★★)
ルーツを辿れば国有国営ホテルだった1947年に遡り、前身の「パレスホテル」の創業が61年。
生まれ変わった「パレスホテル東京」の設立が2012年で、今年5月で10周年を迎えました。
この記念に初めて、ホテルの顔であるスイートを6室増やしたのです。
名称は「プレミアスイート」。

コロナ禍で未来が見通せず、巣ごもりやテレワークといった新ライフスタイルが広まった社会情勢のなかで考えられた部屋。
日本の美意識に根ざしたもてなしを行うホテルだからこそ期待される、わたしたちの価値観とのリンク。
必ずや今という時代のエッセンスを学べるはずと思い、ファッション周辺を主な仕事にする者として訪問させていただきました。

結果、プレミアスイートから感じたこと。

・派手な生活より、地に足のついた生活。
・ゴージャスより、簡素。
・働くことと一体化させた空間。

旅先でのホテル宿泊という非日常の演出より、家族で暮らす日々の延長線上にあるくつろぎが提案された空間でした。
家で働く生活にも対応してます。
しばらくここにいると、
「あれ、ホテルの部屋だっけ?」
と頭がふわっとなるほど。
パレスホテル東京だと気づかされるのは、窓から外の景色が見えたとき。
凄すぎる眺望は以下の通りです。

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バルコニーから眺めたホテル客室。プレミアスイートは10〜15階の6室(ツイン2室、キング4室)。

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皇居外苑を望む眺望。あたかも現実になったSFヴァーチャル空間のよう。バルコニーに立ち、屋外の空気と風を感じながら眺める体験が最高です。東京暮らし人間からすると、外国人好みの渋谷・スクランブル交差点よりこの景色のほうが“ザ・東京”。

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くつろぎのリビングルーム

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ゆったりと包まれるリビングルーム。手前まで自然光が差し込む明るい室内。日中は外出しがちなホテルでも、昼を快適にしている“おうち”発想。

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コンパクトなバルコニーが、まー心地よくて。ルームサービスで届けられる料理より、買ってきた和菓子でも食べたい気分。

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海外客が喜びそうな苔のオブジェや日本文化の英語本が棚に。

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一家団欒のひとときが目に浮かぶL字ソファー。室内には大型テレビやワイヤレススピーカーなども装備。

部屋数は大きくわけて、リビングと寝室の2部屋。
計90㎡の居心地のいい適度な広さ。
共通外扉のコンパクトな部屋「クラブデラックスルーム」が隣に併設されており、扉経由の2部屋続きとして利用することも可能。
その部屋が実にわたし好みでして、そのお話は記事の後半にて。

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バスルームも美麗なベッドルーム

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ラグジュアリーベッドメーカー、シモンズの日本製キングベッド。部屋全体のミニマルな配色と直線コンポジションがモダン。

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行灯を思わせるほのかな明かりが、必要な箇所に点々と。夜も眠りを邪魔しない実用的な照明でしょう。

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木材を活かした部屋の印象がそのまま続くバスルーム。

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意外にも、このプレミアスイートの部屋内でもっともゴージャスに感じられた洗面台。絶対正しいですね、この発想。自分自身と向き合うグルーミングの場は、豪華なほうが気持ちが引き締まりますから。

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アメニティはイギリスの高級オーガニックコスメ、バンフォード。

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タオル棚も木材でクリーンで素敵です。タオルは今治産。

水周りに木材を使うと清掃やケアの効率が悪く、美しさを維持するのに手間が掛かるでしょう。
それをやるところが今の時代っぽいというか、高級ホテルらしいというか。

ベッドルームにもリビングと同様の独立した小さなバルコニーがあります。
例えば、ビジネス用途でリビングに他人がいるときでも、ベッドルームから外に出て一息つける。
魅力ある私的空間だと思います。
旅先の室内にひとりになれる場所があるのは、家族だけの宿泊でもメンタル上好ましいかと。


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2部屋利用に向く隣の「クラブデラックスルーム」

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バスルームから一気に室内のすべてを見渡せ、屋外まで一直線に空間がつながる構造。

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めちゃ仕事に集中できそうな、キューブ型のバルコニー。最高です。景色がグワッと前に突き抜け、心がすっきり。

まったくの私見を述べます。
隣にあるサブ的なこの部屋のほうが、プレミアスイートよりわたしにはフィットします。
比べて狭いのになぜかって?
ひとりの仕事で使うのに最高に思えるから!

実は子供の頃から親しんだハリウッド映画の刷り込みで、「ホテル=スパイ」なイメージが頭に焼きついてます。
007やミッションインポッシブルの世界。
ホテルは仕事の緊張感と強烈に結びつく存在です。
(好きな感覚)
安モーテルでも映画のように身を隠す気分ならワクワク。

この部屋は生活動作のすべてを、パパッと掌握できるのが素晴らしく。
寝る・顔洗う・服のホコリを叩く・パソコンのキーを叩く、といったことをどこでやればいいか、室内をチラ見すればすぐわかる。
財布やスマホを置いた場所も一目瞭然。

さらに!
室内から四角いバルコニー(別世界へのゲート)を通過して屋外に延々と続く直線上のヌケ感が、
部屋の魅力を200%増し、いや、400%増しかそれ以上にしてます。
外の空気が流れ込む気分のなんと爽快なことか。

それでは最後になりましたが、¥338,800〜のプレミアスイートの詳細チェックは以下の直リンクよりどうぞ。

www.palacehoteltokyo.com/room/premier-suite/

All Photos©KAZUSHI

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高橋一史

ファッションレポーター/フォトグラファー

明治大学&文化服装学院卒業。文化出版局に新卒入社し、「MRハイファッション」「装苑」の編集者に。退社後はフリーランス。文章書き、写真撮影、スタイリングを行い、ファッション的なモノコトを発信中。
ご相談はkazushi.kazushi.info@gmail.comへ。

高橋一史

ファッションレポーター/フォトグラファー

明治大学&文化服装学院卒業。文化出版局に新卒入社し、「MRハイファッション」「装苑」の編集者に。退社後はフリーランス。文章書き、写真撮影、スタイリングを行い、ファッション的なモノコトを発信中。
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