5ツ星・パレスホテル東京の和スイーツセットの凄味は、極上の味とさらに……!

  • 写真・文:高橋一史

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丸の内のパレスホテル東京にて、2021年9月1日(水)〜11月30日(火)に提供されるアフタヌーンティー「金沢のおもてなし」。

その昔、代々木上原のケーキの名店「アステリスク」のアラビカ(塩キャラメルとコーヒー風味のムース)を初めて食べたとき、
「スイーツってなんて創造的な食べ物なんだ!」
と驚いた経験があります。
何層にも重ねられた層のそれぞれをすくって食べるだけで満足するレベルなのに、全部を一緒に口に入れるとまた異なる立体的な味へと変化する奥深さ。
音楽に楽器同士の調和があり、建物が太陽や雨風の動きまで計算し、映画がクライマックスに向けて物語を積み上げるように、スイーツもまたクリエイティブな存在なのだと気づかされまして。


ってもですね、駄菓子もフツーに「うまいうまい」と食べる人間なもので偉ぶれる資格ゼロなんですけど。
ただ高品位なスイーツを食べるときはつくり手の創造プロセスにも思いを馳せるようになりました。
今回はそんなクリエイティブ発想がひしひしと伝わる素晴らしい体験をしました。
ぜひ皆さまにも話を聞いていただければと思います。

「フォーブス・トラベルガイド」の6年連続5ツ星に輝き、「ミシュランガイド東京 2021」ではわずか5軒の最高星(4ツ星+)のひとつ、「パレスホテル東京」。
2019年にはドナルド・トランプ前大統領が来日したとき宿泊した日系ラグジュアリーホテル。
これほどの評価を得るのは並大抵のことじゃありません。
同ホテルが新作アフタヌーンティーを手掛けたということで、いち早く味わえる機会に恵まれ行ってまいりました。

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セット内容は、落雁、加賀棒茶、吉はし菓子所の詰め合わせ、パレスホテル東京オリジナルのスイーツ、パレスホテル東京オリジナルのセイボリー。

これはもうアフタヌーンティーと呼んでいいのか、新しい呼び名の必要性をも感じてしまう美麗な三段重のスイーツ&フードセット。
石川県金沢で茶人が信頼を寄せるとされる家族経営の御菓子司「吉はし菓子所」から取り寄せ、その世界観をベースにパレスホテル東京が新たに考案したスイーツとセイボリー(食事的なもの)とで組み立てたもの。
パッと見では2箱がスイーツだと気づかないほど調和の取れたビジュアルです。

席に着くとまず最初に写真左上の落雁2個と加賀棒茶が出されます。
これは和の世界へと心を導く案内役。
窓から見える石垣などを眺めつつ、のんびりと茶を味わうと気分が高まりそう。

そのあとに三段重が運ばれます。
アフタヌーンティーですから好きなものをつまんでOKなのですが、実は私のお薦めの食べ進め方がありまして。
それは、一箱ずつ空にしていくこと。
順番は、吉はし菓子所の菓子だけを詰めた箱 → パレスホテル東京オリジナルの箱 → セイボリー。
あ、まずセイボリーからでもいいですね、そこはお好みで。

なぜこの食べ方がいいかというと、「吉はし菓子所 VS パレスホテル東京」のクリエイションバトルを愉しめるから!
2種類の対比が面白いのです。
ホテルオリジナルスイーツの製作者は、ペストリーシェフの窪田修己さん。
窪田シェフは金沢に足を運び独自に調達した食材を“洋菓子”に仕上げました。
しっかりと和のフルーツが息づく、クリーミーな洋菓子。
箱ごとに食べ進めると、伝統の日本から和洋折衷へと移っていくストーリーを体感できます。

この食べ方はホテル側から提案されたものでなく私流。
パレスホテル東京が現代的なビジネス街と古の皇居外苑とに隣接し、
日系ホテルとしてのアイデンティティに誇りを持ち今回の和スイーツを企画したことを考えると、筋の通った食べ方だと思っております。

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吉はし菓子所の詰め合わせ。左上から時計回りに、栗きんとん(10月15日からの「秋の香」)、イチョウの寒氷・紅葉の生砂糖・煎餅、千代見草、くるみ餅・流氷の生砂糖。

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ホテルオリジナルの詰め合わせ。左端から時計回りに、能登志賀ころ柿のパンナコッタ、ルビーロマンのジュレ、打木赤皮甘栗南瓜のモンブラン、白味噌のスコーン・生醤油のコンディメント(中央)、石川産イチジクとパッションのムース、五郎島金時と抹茶のフィナンシェ。

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セイボリー。左端から時計回りに、五郎島金時芋ご飯、百万石しいたけと加賀蓮根 金時草のロワイヤル、柿とプロシュート、加賀太きゅうりのサジキとズワイ蟹、スモークサーモンとクリームチーズのロールサンド(包み)。

味はすべてが極上。
もともと最高級の素材が調理によってネクストレベルに高まり、ときに懐かしい記憶が呼び起こされ、ときに斬新な体感がありました。
静と動のコントラストが目くまぐるしく訪れます。
甘いもの(甘さ控えめ)を一気にたくさん食べるのに、飽きることなくもっとトライしたかったほど。
ぜんぶ重箱に詰まってる箱庭感も愉しいですねえ。
日本人ならでは美意識ですね。

食事に相当するセイボリーくらい軽く手抜きあるんじゃね?と意地悪に考えてたら、旨すぎてまた驚きが。
少食者向けランチボックスとして独立したレギュラーメニューにできそう。
生ハムメロンならぬ生ハム柿、炊き込みご飯、サーモンサンドイッチをちょっとずつ一緒に食べられる、季節漂う和洋折衷な食事セットなんてあまりないですから。

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「金沢のおもてなし」が提供されるのは、この1階ロビーラウンジ「ザ パレス ラウンジ」。窓に近い席を選ぶと、世界観により浸れると思います。

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今回の試食会が行われたのは19階の部屋。ここからの眺めもちょっと凄いです!ホテル最上階が23階で、ホテル内の約半数がバルコニーつきの眺めのいい部屋だそう。

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夕方17時30分のパレスホテル東京。実はこの時間に普通にカメラ構えてもホテルと池が暗く写ります。後処理ギミックありの写真。

アフタヌーンティーの時間帯は、13時〜15時、17時〜18時30分(ともに平日)、14時/15時、17時〜18時30分(土日祝)。

利用時間は2時間30分。
一日限定25食。
詳細は以下の公式特設サイトにて。
www.palacehoteltokyo.com/restaurants-bars/yoshihashi-collaboration/

料金は一人前¥7,200(サービス料・税込)。
この額でもリピしたくなってる自分がいます、いま。
ただですね、部屋に宿泊してそこで食べられるならそれが理想的とも感じてます(実際はラウンジのみ)。
人声のない静かな環境で、バルコニーでYチェアのようにシンプルな椅子に座ってのんびりとお茶すすったら、まさしく至福のひととき。

All Photos©KAZUSHI

高橋一史

ファッションレポーター/フォトグラファー

明治大学&文化服装学院卒業。文化出版局に新卒入社し、「MRハイファッション」「装苑」の編集者に。退社後はフリーランス。文章書き、写真撮影、スタイリングを行い、ファッション的なモノコトを発信中。
ご相談はkazushi.kazushi.info@gmail.comへ。

高橋一史

ファッションレポーター/フォトグラファー

明治大学&文化服装学院卒業。文化出版局に新卒入社し、「MRハイファッション」「装苑」の編集者に。退社後はフリーランス。文章書き、写真撮影、スタイリングを行い、ファッション的なモノコトを発信中。
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