パネルメーカーが提案する、アートを楽しむモニター

  • 編集:一ノ瀬 伸

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〈ディスプレイ〉
JOLED glancy(ジェイオーレッド グランシー)

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今4月末発売予定。回転させて横置きと縦置きの両方で表示できる。画面サイズは26.9インチで、外形寸法はW67.4×H41.3×D2.51㎝(壁掛け回転金具を除く)。¥183,700

高画質なアートディスプレイが登場した。ディスプレイに絵画や写真を表示するJOLED(ジェイオーレッド)のインテリアモニター「glancy(グランシー)」だ。同種の製品はこれまでにも例があったが、従来のものは液晶だった。グランシーは高画質の4K有機ELだ。

同社は、ソニーとパナソニックの有機EL技術を統合し、いまテレビで使われている蒸着式・白色有機ELパネルを格段に上回る表現力を誇る印刷式・RGB有機ELパネルを孤軍奮闘にて開発した、世界唯一のパネルメーカーだ。バネルの原産メーカーが、ユーザー向けの最終製品をつくったことも注目に値する。

同社が26.9インチという初めてのパネルサイズをなにに使えば最適かを考える中で発想したのが、アートディスプレイだった。正確な映像情報を表示できる有機ELなら、絵画や写真といった芸術作品を、オリジナルに忠実な色や明るさで表示することができる。その意味で、中型の有機ELパネルの使い道として、本製品は誠に適切な応用例と言える。

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ディスプレイのフレーム周囲には透明な樹脂板が付いていて、テレビとデザインを差別化している。表示するアート作品を際立たせるとともに、インテリアの趣を高めている。

専用のサブスクリプションサービス「J-GARO(ジェイ・ガロ)」を通して、世界中の古典から新進アーティストまでの絵画、写真作品が配信される。スマートフォンアプリでプレイリストが設定でき、好きな作品の連続再生も可能だ。

画質は有機ELだから、とても上質。特にRGB発光なので、色再現が素直だ。その作品をあるがままのナチュラルな色彩感で再生してくれる。アンドロイドOSを搭載しているので、いわゆる「スマートテレビ」としてネットコンテンツが見られ、また、レコーダーや外部チューナーをHDMI接続すれば、4K有機ELテレビにもなる。つまり高画質なパーソナルテレビとしても活用できるというわけだ(スピーカー非内蔵なので、外部のBluetoothスピーカーで音を聴く)。

多彩に使える高画質アートディスプレイの誕生を歓迎したい。

麻倉怜士

デジタルメディア評論家。デジタルシーン全般の動向を常に見据える。近著に『高音質保証! 麻倉式PCオーディオ』(アスキー新書)、『パナソニックの3D大戦略』(日経BP社)がある。

問い合わせ先/glancy問い合わせ窓口
TEL:03-6632-9154

※この記事はPen 2022年5月号より再編集した記事です。