マーベルコミックでスパイダーマンの宿敵として描かれている人気ヴィランを主人公に映画化した、ソニー・ピクチャーズによるマーベル・ユニバース最新作『モービウス』のあらすじと見どころを紹介する。
【あらすじ】難病を患う医師が、生きるために“血への渇望”という大きな代償を抱えてしまう
マーベルコミックでスパイダーマンの宿敵として死闘を繰り広げた人気ヴィランでありながら、これまで映画で描かれることのなかったモービウス。血に飢えたヴァンパイアと人命を救う医師という2つの顔をもつ異色のキャラクターを、オスカー俳優ジャレッド・レト主演で映画化した『モービウス』が4月1日から劇場公開される。
幼いころから血液の難病を患っていた天才医師モービウス(ジャレッド・レト)は、同じ病に苦しむ親友マイロ(マット・スミス)のためにも、治療法の確立に懸命に取り組んでいた。そしてある日、コウモリの血清を投与するという危険な治療法を、自らの肉体を実験台として試すことに。
その結果、モービウスは病を克服することに成功したものの肉体が激変。全身が隆起した筋肉で覆われ、超人的なスピードや飛行能力、周囲の状況を察知するレーダー能力が身に付き、さらにその代償として血に飢えるようになってしまう。血への渇望を抑えるために人工血液を飲み、薄れゆく人間としての意識を保とうとするモービウス。そんな彼に対してマイロは「自分にもその血清を投与してほしい」と懇願するが、血清の危険性を知ったモービウスは拒否する。そんな中、ニューヨークで被害者の全身の血が抜かれる殺人事件が続発する。
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【キャスト&スタッフ】オスカー俳優ジャレッド・レトが映画初登場のヴィランに挑戦
マーベルの数あるキャラクターの中でもとりわけミステリアスな存在で、これまで一度も映画で描かれたことがないモービウスを演じるのは、『ダラス・バイヤーズクラブ』でアカデミー助演男優賞を獲得した名優ジャレッド・レト。アメコミのヴィランは過去に『スーサイド・スクワッド』で狂気の悪党ジョーカーを演じたことがあるが、モービウスは善と悪を併せもつ複雑なキャラクター。それでもレトは「これまで映画に登場したことのないキャラクターをスクリーンに登場させるというチャレンジに興奮した。演じる領域が広いのでとても楽しかった」と語り、平凡な人間が意図せずモンスターへと変容していく様を全身全霊で演じている。
本作のメガホンを握るのは、『デンジャラス・ラン』『ライフ』など影とエッジの利いた作品の数々で知られるダニエル・エスピノーサ監督。コミックブックの熱烈なファンでもある彼は、高潔な医師と残忍なヴァンパイアという二面性をもつモービウスの本質を熟知し、深い葛藤を抱えるアンチヒーローとして魅力を掘り下げている。
また本作にはレト以外にも魅力的なキャストが集結。マイケルと同じ病を抱える親友マイロ役に、『ラストナイト・イン・ソーホー』の怪演が記憶に新しいマット・スミス。モービウスと協力して治療法を探す医師マルティーヌ役に、Netflix映画『6アンダーグラウンド』で注目を集めたアドリア・アルホナ。激動の変貌を遂げていくモービウスと、それぞれの立場から深い関係性を紡いでいく。
キャスト
ジャレッド・レト(マイケル・モービウス)
マット・スミス(マイロ)
アドリア・アルホナ(マルティーヌ・バンクロフト)
ジャレッド・ハリス(ニコラス)
アル・マドリガル(アルベルト・ロドリゲス)
タイリース・ギブソン(サイモン・ストラウド)
マイケル・キートン(エイドリアン・トゥームス)
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【見どころ】世界の救済者か、それとも破壊者か?スパイダーマン・ユニバースに新展開は?
アメコミ・ヒーローにはバットマンなど暗い影を背負ったダークヒーローが少なくないが、善と悪の振り幅の広さにおいてモービウスは出色。吸血コウモリのDNAを融合させることで超人的な力を手に入れ、怒りの感情をきっかけにヴァンパイアバージョンへと変貌するモービウスは、“血に飢えた獣”という内なる邪悪な存在への恐れと苦悩を深めていく。また、パワーを得て間もない段階であるため、怪物化した状態ではまるで野生動物のように制御不能。世界を破滅に導くほどの破壊力と衝動をその身に宿しているモービウスが、感情をコントロールしながらアンチヒーローとしての運命を切り開いていく様は、さながら重厚な神話のようで見ごたえ満点。VFXで表現されたヴァンパイアバージョンへの変貌や、コウモリの特殊能力をアメコミ風に昇華した迫力満点のアクションも見逃せない。
もう1つ頭に入れておきたいのは、原作コミックにおいてモービウスがスパイダーマンの宿敵であり、本作は『スパイダーマン』『ヴェノム』などを手がけたソニー・ピクチャーズによる“ソニーズ・スパイダーマン・ユニバース”の一作であること。『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』でマルチバースの扉が開かれた後に公開される本作が、果たしてスパイダーマン・ユニバースとどのようにリンクしていくのか。今後のユニバースの展開を示唆する描写もあるので、細部まで目が離せない。
生まれながらの完全悪ではなく、善と悪のどちらにも転じかねない──。そんな危うさが魅力的な、新たなヴィランの運命を見届けたい。
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予告編
『モービウス』
監督/ダニエル・エスピノーサ
出演/ジャレッド・レト、マット・スミスほか 2022年 アメリカ映画
1時間44分 4月1日(金)全国ロードショー
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