五輪スケートボード金メダリスト・堀米雄斗のファッションとスニーカー、ビデオパートへのこだわり

  • 文:高橋一史
  • 写真:杉田裕一

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東京2020オリンピック競技大会のスケートボード「男子ストリート」で金メダルに輝いた堀米雄斗。アメリカでプロとして活躍する彼への単独インタビュー後編となる今回は、スケートボーダーのスタイル表現に欠かせない映像とファッションにフォーカスする。

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スケートボードパークで滑る堀米雄斗。一般人が入れるパークにトッププロも顔を出すのがスケートボードカルチャーだ。※記事内写真すべて、フォトブック「いままでとこれから」より。2022年4月1日(金)発売、KADOKAWA刊。 ¥2,200(税込)

【インタビュー前編】
五輪スケートボード金メダリスト・堀米雄斗に訊く、「スケートカルチャー」とはなにか?

毎日のように撮る”ビデオパート”

ミュージシャンが演奏を録音してアルバムに残すように、スケートボーダーはストリートでの滑りを映像に残す。これは彼らの間で脈々と受け継がれてきたカルチャーである。何カ月も、ときに何年も掛かって最高のメイク(技)の瞬間を切り取る。その映像を編集してつなぎ合わせたわずか5分ほどの映像は、「ビデオパート」と呼ばれる彼らの宝物だ。そこで示された姿こそが、その人の“スタイル”。「スタイルをつくりたい」と望む雄斗はいま、毎日のように映像クルーたちと街に出て撮り続けている。

「映像でトリックを残すことで、自分のスタイルを確認できます。ストリートの映像がないとファンがつきにくいし、スポンサーもつきにくいです。スケボーはカッコいいのが当たり前な世界。憧れのスケーターたちが映像を残してきたから、自分もそれをやっています。ストリートでカッコいい映像を残したスケーターが大会で勝つと、よりカッコよく見えてくるもの。その突き抜けたスタイルに憧れて育ってきたので、僕自身も大会とストリートの両方をやるようになりました」

映像の撮り方にも、スケートボードカルチャーの流儀がある。

「フィルマー(撮影者)に任せっきりにせず、このアングルで撮ってほしいとか、もう少しズームして撮ってほしいとかは言いますね。一つひとつのこだわりが映像に出てくるので、そこがスケボーの楽しいところでもあって。子どもの頃はプロスケーターのシェーン・オニール(※2020東京オリンピック競技大会・オーストラリア代表選手)にすごく憧れていて、シェーンが使っていた日本の古いカメラ『VX1000』で自分の映像を撮ったこともあります。ぜひ多くの人に僕のビデオパートを見てほしいですね。スケートカルチャーの裏側も、大会とはまったく違う自分もここで見られます。新作は、コケてるシーンから映像がはじまりますよ(笑)」

雄斗自身がディレクションして追求したカッコよさを、以下のリンクから確かめてみよう。

Yuto Horigome's "Spitfire" Part
21年12月公開のビデオパート。ThrasherMagazineチャンネルより。
Shane O'Neill's "Shane GOES" part
雄斗が憧れたシェーン・オニールのビデオパート。15年3月公開。ThrasherMagazineチャンネルより。

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雄斗のロサンゼルスの自宅に置かれたスニーカーコレクション。愛用するメーカーはナイキだ。

プロが認めるスニーカーとは?

現在、数多くのスポンサー企業が雄斗をサポートしており、ナイキのスケートシューズブランド、ナイキSBもその一つ。タウンユースでも大人気だが、スポンサーであることを抜きにしてもプロを満足させる品質のようだ。

「オリンピックをはじめ、大会でスケボーするときはナイキSBを履いています。SBはすごく優れたシューズだと思います。ストリートでは10段以上ある階段を飛び越すときもありますが、足を守ってくれ、怪我をしづらいです。ボードで擦れやすい靴紐も切れづらくなっているなど、いろいろ工夫されてます。昔からナイキが好きだったので、いまこうして契約させてもらって光栄ですね。ほかのスケーターたちもSBの愛用者が多く、最近はトレンドのダンクを履いてる人が多いです。あと人気なのは、同じナイキのブレーザーあたりでしょうか」

ナイキSBに加えて、ストリートで雄斗がよく履くのはナイキ・エアジョーダンだ。

「きっかけは藤原ヒロシさんからフラグメント デザインとジョーダンのコラボものをいただいたこと。ヒロシさんから『これ履いてスケボーしてほしい』と言われ、誰もやってないことだしカッコいいかなと。いちばんお気に入りのスニーカーの一つですね。エアジョーダンはソールが薄めで、足裏でボードの感覚を掴みやすい。階段を飛んで着地しても痛くなく、スケボーに向いてます」

室内競技のバスケットボールシューズも、雄斗が履けば最高のスケボーシューズになる。

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23歳の若さでロサンゼルスに住宅を購入。家の裏にはスケートできる設備も整えている。

映像をカッコよく見せるファッション

インタビュー中に雄斗が頻繁に口にした言葉が、「憧れ」「カッコよさ」。憧れられるカッコいいスケートボーダーになることが、彼が目指す当面の目標である。着る服を気にするようになった理由にも、独自の考えがある。

「最初はファッションにまったく興味がなく、がむしゃらにスケボーばかりしてました。でも憧れのスケーターの映像がなぜカッコいいのかを考えたとき、服のセンスも大事なことに気づきました。ファッションがカッコいいと簡単なトリックでもカッコよく見えるんですね」

それでは、雄斗が好む服装とは?

「シンプルな服が好きで、派手にならないようにしてます。さらりとした、自分の滑り方に合うファッションを心がけています。滑りと服がマッチすればカッコよさにつながると思うので。いちばんこだわるアイテムは、滑りやすさに直結するパンツです。太すぎるのは嫌で、丈を短く直したりして穿いています」

何気ないカジュアルに見える彼の服装にも、スケートボードカルチャーに根ざしたスタイルが息づいている。

2022年4月22日(金)より千葉のZOZOマリンスタジアムで日本初開催される「Xゲーム」に出場する雄斗。これに向けて毎日練習しながらも、ビデオパートを撮り続ける生活を送っている。大会とストリートを見事に両立させる一流スケートボーダーの人生の歩みを、初の書籍『いままでとこれから』で深堀りしてはいかがだろうか。

X Games Chiba 2022 Presented by Yogibo
https://xgamesjapan.com/

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高橋一史

ファッションレポーター/フォトグラファー

明治大学&文化服装学院卒業。文化出版局に新卒入社し、「MRハイファッション」「装苑」の編集者に。退社後はフリーランス。文章書き、写真撮影、スタイリングを行い、ファッション的なモノコトを発信中。
ご相談はkazushi.kazushi.info@gmail.comへ。

高橋一史

ファッションレポーター/フォトグラファー

明治大学&文化服装学院卒業。文化出版局に新卒入社し、「MRハイファッション」「装苑」の編集者に。退社後はフリーランス。文章書き、写真撮影、スタイリングを行い、ファッション的なモノコトを発信中。
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