ザ・ノース・フェイスの“染めない白”が、SDGs時代の新しい服選びになるか?

  • 文:高橋一史
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ザ・ノース・フェイスが無染色の白でつくった「アンダイド コレクション」。左から、メンズジャケット ¥38,500(税込)、男女兼用アノラック ¥36,300(税込)、バケットハット ¥7,150(税込)

ザ・ノース・フェイスが2022年2月下旬から順次販売をはじめた「アンダイド コレクション」は、アウトドアウエアの常識を打ち壊す白のシリーズだ。ゴアテックスファブリックを搭載した3層構造のポリエステル生地で、防水透湿の機能も有している。本格スポーツウエアに汚れが目立ちやすい白を採用したのには大きな理由がある。それは染めに伴う水資源を使わず、環境負荷を減らしたかったから。さらに縫い目や、芯地などの副資材も最小限に抑え、極限までミニマルに仕上げた。そのコンセプトから生まれた同コレクションは、結果として着る人をスタイリッシュに見せるデザインになった。このカッコよさだけでも心惹かれる人は多いだろう。

都市部における現在の日本的装いとして人気の色は、白、黒、紺、ベージュ。全身を黒1色で揃えるハードな着方は少数派になり、洒落者は白とベージュを巧みに組み合わせてクリーンさを表現する。これらの色の生地は無染色の可能性が高い。例えば素材がコットンの場合、自然界での本来の色はベージュ(生成り)である。真っ白な生地にするときは科学薬品で漂白するケースもあるが、近頃は後処理しない天然色のままの服も増えてきた。洒落ているうえに環境にも優しいとなれば、積極的に着ることに何のためらいもない色だ。

日常的に染め工程まで考えて服選びする人はまだ、よほどファッションに詳しいか環境意識が高い人に限られるだろう。しかし皆が少し気にするだけでも、将来的に資源の無駄遣いや環境保全に役立つかもしれない。ザ・ノース・フェイスのアンダイド コレクションのような思想のある服を着て、さらに捨てずに長く愛用することがきっと、未来への“第一歩”へとつながっていく。

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アンダイド コレクションを着たルックイメージ。
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ロゴ刺繍まで白で揃えられたストイックなキャップ。¥6,600(税込)

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高橋一史

ファッションレポーター/フォトグラファー

明治大学&文化服装学院卒業。文化出版局に新卒入社し、「MRハイファッション」「装苑」の編集者に。退社後はフリーランス。文章書き、写真撮影、スタイリングを行い、ファッション的なモノコトを発信中。
ご相談はkazushi.kazushi.info@gmail.comへ。

高橋一史

ファッションレポーター/フォトグラファー

明治大学&文化服装学院卒業。文化出版局に新卒入社し、「MRハイファッション」「装苑」の編集者に。退社後はフリーランス。文章書き、写真撮影、スタイリングを行い、ファッション的なモノコトを発信中。
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