こだわりの木の振動板が生む、 細部までビビッドな音

  • 編集:一ノ瀬 伸

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〈ワイヤレスイヤホン〉

Victor HA-FW1000T(ビクター HA-FW1000T)

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「HA-FW1000T」は完全ワイヤレスイヤホンで初めて木の振動板を搭載。連続再生時間は本体のみで最大9時間、ケースの充電を合わせると最大27時間。¥39,600(実勢価格)

JVCケンウッドの家宝とも言える、木の振動板を初めて採用した完全ワイヤレスイヤホン(TWS)が登場した。

バイオリンもピアノも木が振動して音を出す。それならスピーカー素材にも適するのではないかとの発想から、同社がスピーカー用に木の振動板を使った、その名も「ウッドコーン」を開発したのが30年近く前。ただウッドコーンに対して、私はあまりいい印象をもったことはない。特に単体のスピーカー製品では、音の描きが凡庸だった。でも、今回の木の振動板を採用したTWSの音はいい。解像度が高く、細部まで音の表情がビビッドなのだ。今回の振動板は「ウッドドーム」と名付けられ、従来のウッドコーンとは構造が異なる。

木の振動体そのものではなく、カーボンで被覆されたPET材と薄膜のカバ材の二重構造にして、信号変化に対する敏捷性を増した。さらに振動板の口径も、TWSのそれとしては大型の11mmとし低域再現性を上げた。内蔵アンプでこの振動板に最適な特性を与えたのも効いた。これらにより、ディテールまで明快でヌケのいいクリアな音を実現した。

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マスク着用時のこもった声質をクリアに補正するモードやイヤホン本体で通話マイクのオン・オフを操作できる機能を備えている。昨今増えたオンライン会議に有用だ。

空間感も豊か。一般にTWSでは直接音は明瞭でも空間感は乏しいというのが通り相場だが、このイヤホンは気持ちのいい音場感が聴ける。これはウッドドライバーの後部に、小さな筐体ながらしっかりと音響室を確保したことが効いているのだ。使いこなしの難しい振動板をうまく飼い慣らし、音楽的な情報量をたっぷりと聴かせることに成功している。

ノイズキャンセルは極端に効くわけではないが、削減効果は適切だ。オン・オフでの音質変化も少ない。音量調整段階が100もあるので、微妙なボリューム設定が可能。耳への装着感も快適。同社製品の中でも、特に音にこだわったものにだけ与えられる「ビクター」ブランドを冠した矜持も納得できる傑作TWSだ。

麻倉怜士

デジタルメディア評論家。デジタルシーン全般の動向を常に見据える。近著に『高音質保証! 麻倉式PCオーディオ』(アスキー新書)、『パナソニックの3D大戦略』(日経BP社)がある。

問い合わせ先/JVCケンウッド カスタマーサポートセンター
TEL:0120-2727-87(固定電話から)、0570-010-114(携帯電話から)

※この記事はPen 2022年2月号「日本の建築、ここが凄い!」特集より再編集した記事です。