帝国ホテル 東京 新本館が2036年度に完成予定だ。デザインアーキテクトにはフランス在住の建築家 田根剛(ATTA- Atelier TsuyoshiTane Architects)のデザイン案を採用した。
帝国ホテルは1890年、日本の近代化を推進する明治政府の国策により、海外貴賓を遇する迎賓館として、初代会長である渋沢栄一の「社会の要請に応え、貢献する」という信念とともに開業。初代本館の風格ある洋風建築は、隣接する鹿鳴館とともに西欧化を目指す日本のシンボルとなった。近代建築の雄たるフランク・ロイド・ライトにより設計され、1923年に開業した2代目の本館は、通称「ライト館」と呼ばれ、首都東京の近代化を先導した歴史的建築物だ。
そして70年に大阪万博を機に建て替えられた現在の本館、また1980年代の高度利用・複合化の先進事例となった83年開業の帝国ホテルタワーなど、現在に至るまで、それぞれの時代において国際的ベストホテルを目指す企業として最高の施設であるべく努めてきた。本計画は、この先の100年、200年も「メイド・イン・ジャパン」のホテルとして、その中心的存在であり続けるための4代目新本館建築計画となる。

デザインアーキテクトの選考にあたっては、新本館に求める「品格・継承・挑戦」という3つのキーワードといくつかの条件のもと、国際的に活躍する国内外の建築家を候補にコンペティションを実施。帝国ホテルの歴史・理念を十分に把握し、ビジネス・文化・交流の中心地である日比谷地区で、次世代の日本のホテル文化をリードする「新しいグランドホテル・迎賓館」にふさわしく、近景、遠景、どこから見ても「ザ・ホテル」の顔・存在感や独自性を体現するデザインをともに創り上げることができる建築家からの提案を求めた。
田根は、独自のアプローチである考古学的(Archaelogical)リサーチにより、帝国ホテルのみならずホテル業そのものを考察。賓客を迎え入れる「宮殿」の構えと人類の進歩の証である「塔」を融合することで、唯一無二かつ新しい迎賓館にふさわしく、首都の中心に燦然と輝く存在として、ライト館を形容する言葉として使われた「東洋の宝石」を継承し、未来につなげるコンセプトを提案。帝国ホテルは田根の「帝国ホテルの歴史を深く考察し、それに立脚して未来につながる建物を造る」というアプローチ姿勢を高く評価。さらに、これまで田根がプロジェクト毎に全く異なるデザインによってオリジナリティを表現してることから、帝国ホテルの独自性を創出してくれることへの期待と、才能ある若手建築家とともに未来の帝国ホテルをつくるという気概を示していきたいという見地から、田根の起用を決定した。
新規性より永続性を、表層より奥深さを、無機質より重厚感、均質さよりも多様さを掲げ、建築に荘厳さと壮麗さを表現することを提案した田根のデザインによる帝国ホテル 東京 新本館の完成が待ち遠しい。
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日本初の本格的グランドホテルとして開業した帝国ホテル


問い合わせ先/株式会社 帝国ホテル
https://www.imperialhotel.co.jp/j/