イギリスに注文したビルケンシュトックが、名門ファッション学校生のデザインだった

  • 写真・文:高橋一史

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気になっていたアイテムをネットで見かけ、思わず購入ボタンをクリック、そんなプチ衝動買いをしたのがこの白黒のビルケンシュトック。
「初めて見るモードなビルケンシュトック」、と感じる人も多いかと思いますが、それもそのはず、これは既存モデルにはないオンリーワンのデザイン。
クッション力のあるパッドをレザー内部に仕込みステッチが掛けられてます。
独特な形ですが、実は人体構造に基づいたカッティング。
足を入れると自然な感触で、動きやすく足に優しいことがわかります。

「解剖学的な “理由のある” デザインって、故アレキサンダー・マックイーンみたいな考え方だなあ」と思ったら、実はこれを手掛けたのは、マックイーンも通っていたイギリスのファッション学校の学生。
そう、かの有名な(ファッション関係者には)セントラル・セント・マーチンズ美術学校です!
(以下、CSM)
卒業時に生徒がショー発表するミニコレクションをショップバイヤーが買い付けるほどの人材発掘の場になってます。

ファッションの世界において出身校は、アイデンティティを知るひとつの手がかりになります。
どんな分野が好きか、どんな志向性なのか、といった具合に。
学歴や派閥とは違います。
(ファッションの仕事は能力がすべて……まぁ、“ルックスの良さ” も能力の一部とするならば)

世界中から人が集まるCSMの卒業デザイナーは、ジョン・ガリアーノ、フィービー・ファイロ(元セリーヌ)、ステラ・マッカートニー、ポール・スミスなど。
改めて調べたら、家電のダイソンのジェームズ・ダイソン、コンランショップのテレンス・コンラン、アーティストデュオのギルバート&ジョージ、シンガー&ラッパーのM.I.A、俳優のコリン・ファースやピアース・ブロスナンまで卒業生なんですね。
クリエイティブパーソンの宝庫です。

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ここにお見せしているサンダルは、そんなCSMとビルケンシュトックが共同で取り組んだ研究・デザインプロジェクトの成果である、4人の学生(当時)による「ビルケンシュトック x CSM」コレクション。
私が購入したのは唯一の女性であるサスキア・レナーツ(Saskia Lenaerts)デザインの一足。
足の形状に沿う凹凸のあるフットベッド(インソール)のイメージをアッパーにした発想のようです。
白黒バイカラーは、コンテンポラリースタイルに欠かせない配色。

真夏のラフな服装を格上げしてくれることを期待して購入。
実はサイズ欠品が多かったためか、イギリスのラグジュアリーECサイト「マッチズファッション」でだいぶお値引きされてまして。
日本で半年以上前にラインアップのサンプルを見て、「自分が履くならこれ」と思ってたモデル。
誰のデザインかより、美しさとクオリティの高さに惹かれてました。
しかも現在8足所有するほど、歩きやすさに信頼を寄せているビルケンシュトック。
機能優先派の私でもちゃんと履くだろう、と見込んでゲット。
マッチズのいつも通りの丁寧な梱包で手元に届きました。

前に踏み出してつま先を曲げると、ちょうどアッパーの前後の島(パッド)の間が曲がる巧みな設計。
アンクルベルトにもパッドつきで肌アタリが柔らか。
「撮影するまで汚しちゃマズイ」と思い、まだ外をガシガシと歩いていません。
もうしっかり撮ったから、さっそく明日の外出にでも持ち出します!

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同じ商品が、ビルケンシュトック・ジャパンの公式サイトでもまだ入手可能。
www.birkenstock.com/jp/1774/csm/lenaerts/

ただ ¥63,400(税込)と高額で、サイズも白黒カラーは残すところ26、26.5、27(2021年7月20日現在)のみ。
予算がありサイズが合う方は気になさってはいかがでしょうか。

もひとつ!
私が担当するファッション連載「着る/知る」の7月19日(月)公開のVol.111が、
【ビルケンシュトック×ジル サンダーに、コラボの理想形を見た】
www.pen-online.jp/article/008227.html

モードと実用サンダルの偉大な両雄のタッグ、こちらも大注目です!

photos © Kazushi,2021

高橋一史

ファッションレポーター/フォトグラファー

明治大学&文化服装学院卒業。文化出版局に新卒入社し、「MRハイファッション」「装苑」の編集者に。退社後はフリーランス。文章書き、写真撮影、スタイリングを行い、ファッション的なモノコトを発信中。
ご相談はkazushi.kazushi.info@gmail.comへ。

高橋一史

ファッションレポーター/フォトグラファー

明治大学&文化服装学院卒業。文化出版局に新卒入社し、「MRハイファッション」「装苑」の編集者に。退社後はフリーランス。文章書き、写真撮影、スタイリングを行い、ファッション的なモノコトを発信中。
ご相談はkazushi.kazushi.info@gmail.comへ。