伝統の手作業を継承する、孤高の時計師フィリップ・デュフォー

  • 文:笠木恵司
  • イラスト:西田真魚

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初代ブレゲを筆頭に、時計界では多くの天才を輩出してきた。現代の時計技術やデザインを大きく飛躍させたカリスマたちを紹介する。今回は、伝統の手作業を継承する、孤高の時計師、フィリップ・デュフォーについて。

たとえば歯車は手作業で一歯一歯を刻み、ていねいに磨き上げていく。自動化された工業生産が常識的な現代にあって、フィリップ・デュフォーはスイスの伝統技法にこだわった時計づくりで知られる。このため生産本数は少なく、年間で20本程度。その一方で超絶的な複雑時計も手がけており、2つのバランスホイールが同調して高精度となる「デュアリティ」が有名だ。

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フィリップ・デュフォー
Philippe Dufour (1948~)

1948年にスイスのル・サンティエで生まれ、同地に本社のあるジャガー・ルクルトに67年に入社。78年に時計師として独立。92年に「グラン・プチ・ソネリ・ミニッツリピーター」を腕時計で実現してバーゼルフェアの技術部門金賞が授与された。昨年の日本での講演では「先人に敬意を表し、その技術を次世代に継承すること」が彼の役割と語っている。

210715-02.jpg「シンプリシティ」。シンプルなスモールセコンド・モデルだが、世代を超えて愛用できるよう補修しやすく設計されている。

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※Pen2017年12/1号「腕時計100の物語」特集よりPen編集部が再編集した記事です。