「できる」と思ったことがないからこそ、
どう演じようか考えることが楽しい

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    32 柄本時生俳優

    「できる」と思ったことがないからこそ、
    どう演じようか考えることが楽しい

    各界で活躍する方々に、それぞれのオンとオフ、よい時間の過ごし方などについて聞く連載「MY Relax Time」。第32回は、俳優の柄本時生さんです。現在放送・上演中の作品だけでも、映画『バイプレイヤーズ 〜もしも100人の名脇役が映画を作ったら〜』、ドラマ『全裸監督 シーズン2』(Netflix)や『ひねくれ女のボッチ飯』(テレビ東京)、舞台『物語なき、この世界。』など、さまざまな作品でご活躍されています。

    写真:大瀧 格 構成:和田達彦  

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    柄本時生(えもと・ときお)●1989年、東京都生まれ。父は柄本明、母は角替和枝、兄は柄本佑の芸能一家に生まれ育つ。2003年、オムニバス映画 『Jam Films S』内の『すべり台』(2005年公開)のオーディションに合格し、主演でデビュー。08年、映画『俺たちに明日はないッス』で主演し、第2回松本CINEMAセレクト・アワード最優秀俳優賞を受賞。近年では映画『旅のおわり世界のはじまり』(19年)、ドラマ『ひねくれ女のボッチ飯』(21年)、舞台『泣くロミオと怒るジュリエット』などに出演。

    僕は、来た仕事は断らないと決めています。決まった仕事をやるだけです。だからこういう役をやってみたいとか、役者としての方向性みたいのは考えたことがないですね。それに「やりたい」ってことは、「できる」と思っているっていうことじゃないですか。それは僕にとってはすごく恥ずかしくて。僕はどんな役でも「できる」と思ったことがなくて、やりやすいやりにくいで言えば、全部やりにくい。ひとつの台詞がうまく言えない。何せ僕の言葉としてしゃべった記憶が一度もない言葉なので。でもそこを脚本家の方がどういう意図で書いているんだろうと考える。できないことをどうやったらいいんだろうと考えることが楽しいんです。

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    スケジュール管理を会社に任せているので、オフについても自分ではよく把握していなかったりします。さすがに結婚してからは「○日は妻の誕生日なので空けておきたい」とか言うようになりましたが。だから僕にとってオフタイムはわりと突然できる感じです。コロナ禍以前は、そういう場合はたいてい映画を観に行っていました。ふらっと新宿や渋谷に行って、時間が合うものを適当に観る。上映開始時間まで少し時間がある時は、喫茶店に行って時間つぶし。僕はあまり店を開拓しないタイプなので、一度行って気に入ると、ずっと同じ店に行く。街ごとにそんな喫茶店がひとつずつあります。コロナ禍以降は、家でオンラインゲームをしていることが多いですね。ゲーム内で友達と会って楽しんでいます。

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    僕にとって、喫茶店とコーヒーとたばこ、これはとても魅力的なものなんです。いまはたばこが吸える喫茶店は少なくなりましたが、嫌だなと思いつつ、仕方ないなとも思っています。ただ、結婚以来なるべく本数を減らようにしていることもありますが、吸える場所が減ったことで、1本1本の嗜好品としての価値は自分の中で上がった気がします。昔、どこでも吸えた時は何となく火をつけていたけれど、いまは「このタイミングで吸わなくてもいいか」みたいに時と場所を選んでじっくり1本を楽しむようになりました。昔ながらの街の喫茶店もいいですが、駅の喫煙所も案外好きです。みんな並んで順番待ちしていたりするので、何本も吸うのは気が引ける。だから逆に1本をじっくり吸うことができるんですよね。

    「物語なき、この世界。」​
    作・演出:三浦大輔​
    出演:岡田将生、峯田和伸、柄本時生、内田理央、宮崎吐夢、米村亮太朗、星田英利、寺島しのぶ、​
    日高ボブ美、増澤璃凜子、仁科咲姫、有希​

    【東京】 ​
    会場:Bunkamuraシアターコクーン​
    期間:8月3日まで上演中

    【京都】​
    会場:京都劇場​
    期間:2021年8月7日(土)~8月11日(水)​
    お問い合わせ:キョードーインフォメーション TEL:0570-200-888(11:00~16:00/日祝休)​

    問い合わせ先/JT

    www.jti.co.jp