日本民藝館『食の器』展で、柳宗悦の目線から豊かな暮らしのヒントを見つけよう。

文:はろるど

日々の生活に欠かせない食器。土地や時代によっても形や色、制作手法はさまざまで、最も身近な工芸品と言える存在でしょう。そうした食器を、自らの哲学と審美眼に則ってコレクションした人物がいました。現在、特別展『食の器』を開催している日本民藝館の創設者、柳宗悦(1889年〜1961年)です。「実用のためにつくられた雑器にこそ美が宿る」と考えた柳は、日本の地方民窯や朝鮮の陶磁器などを中心に、名もなき職人がつくった食器を多く蒐集しました。 「見ることは悦びである。しかし使うことの悦びはさらに深い」とは、柳が『作物の後半生』(1932年)にて著した言葉です。柳は、単に食器を目で楽しむだけでなく、使...

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