黒と白のうつわに込めた自由と挑戦、陶芸家・吉田直嗣の感性を見よ。

文:阿部博子

黒と白のうつわをつくり続ける陶芸家、吉田直嗣。派手な文様でも強い色彩でもなくモノトーンにこだわるのは、使う人に形の美しさを感じてほしいからだと言います。現在、2018年7月22日まで東京・原宿のギャラリー「グラフペーパー」で、3度目となる個展『吉田直嗣展』が開催されています。 「均整のとれたうつわを美しいと感じるように、落ち葉や石もまた同じように美しい」と語る吉田の作品には、ルールに縛られない自由で寛容な姿勢が見て取れます。シンプルやミニマルという表現は、無駄な要素を削ぎ落としたものに対して使われることが多いですが、吉田は「削ぎ落としていくのではなく圧縮していくことで初めて生まれる造...

続きを読む