模型を行き来してつくる、言葉にならない建築。【建築家 中川エリカ】

文:山田泰巨

TOTOギャラリー・間 で開催中の個展『JOY in Architecture』の会場を埋め尽くす、無数の模型。それは建築家、 中川エリカ の思考の痕跡であり、手の痕跡だ。原寸大のディテール模型から巨大な敷地模型まで、縮尺の異なるさまざまな模型は、絵本や映像、文章のように、鑑賞者へと思いを語りかける。 「模型を通じ、私たちが建築を考える中で感じた歓びを感じてほしい。模型は多くの気付きを与えてくれる。その発見の内容は人によって違うんです」 建築家を目指したきっかけは、数学と図工が好きだったから。進学して建築を学ぶうち、建築以外の「世界を知る」ことが含まれているのを感じたと振り返る。...

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