日本民藝館『アイヌの美しき手仕事』で、アイヌ文化の造形美に没頭する。

文:はろるど

漫画『ゴールデンカムイ』が大ヒットし、今夏には国立アイヌ民族博物館や慰霊施設からなる民族共生象徴空間「ウポポイ」が北海道白老町に誕生するなど、近年人々の注目を集めているアイヌの歴史と文化。そうしたアイヌ民族に戦前から敬意を払い、工芸品に魅せられていたのが、日本民藝館の創設者である柳宗悦だ。 柳は1941年に『アイヌ工藝文化展』を同館で開催している。当時の広間と1階すべての部屋を用いて約600点ものアイヌの工芸品を美術館で初めて陳列し、まだ民俗学的資料として受け止められていたアイヌ工芸に高い価値を見出した。展示は会期が延長されるほど好評を博し、柳も「アイヌを最上の姿で示した展観であった...

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