
自ら買い取り宿に、
やりたい試みは
まだまだあふれている。
購入したあと、いまはソファや椅子、ベッドなどを入れて宿泊用の設備を整えているところです。サポーズデザインオフィスでは金物などの小物もデザインして販売を行っており、ここではそれらの片鱗に触れることも。けれどサポーズデザインオフィスが手がけた他の住宅に比べ、まだまだ寂しい感じがするのも事実でしょう。
「壁が寂しいからアートも欲しいよね」と言う谷尻さんに、「じゃあ、それはあなたが買ってね(笑)。音楽も欲しいし、ウェディングみたいなパーティに使えても面白いかも! シェフを呼んでイベントをしてもいいんじゃない?」と吉田さんは続けます。丁々発止というにはあまりにも楽しげなふたりの掛け合いは、空間設計においても同じ姿が繰り広げられていそうです。
「そうすると今度はゲストに向けて広島のお薦めを載せたマップがつくりたくなってくる。僕たちはこうやって次々横道にそれちゃうんですが、それが面白いと思ってやっているんです」と谷尻さんは言います。
建築をつくりながら、それにとどまらない場所づくりで国内外から注目を集めるサポーズデザインオフィス。そのひとつのきっかけがこの家にあったのです。



上:ダイニングルームを介して、半地下と2階に寝室を設ける。4人のゲストを想定してベッドは4つ。
中:ベッドサイドの照明もサポーズデザインオフィスのオリジナル。こうした家具やディテールにこだわることで、吉田さんの言う「生活の純度」が高まっていく。
下:中央の白いコアにある浴室。4トップライトから光が差し込む明るい空間。

構造・規模:RC造2階建 敷地面積:212.03㎡
建築面積:78.46㎡
延床面積:89.65㎡(1階74.34㎡、2階15.31㎡)