軍用ダイバーズの原点を再現した、「パネライ」のカリフォルニア・ダイヤルが秀逸!

  • 文:笠木恵司

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スーパールミノヴァを塗布したインデックスは、暗闇でグリーンに光る。手巻き、ステンレススチールケース、ケース径47㎜、10気圧防水。「ラジオミール カリフォルニア- 47㎜」。¥1,056,000(税込)

ダイヤルは時計の顔というだけでなく、ブランドの理念や哲学を印象付ける重要な存在だが、パネライの「カリフォルニア・ダイヤル」はとりわけ異色かつ個性的だ。このためユニークダイヤルとも呼ばれるが、実はパネライによる軍用ダイバーズウォッチの原点。そのスタイルを再現した新作「ラジオミール カリフォルニア - 47㎜」が登場した。

パネライは1936 年にイタリア海軍特殊潜水部隊からの要請でプロフェッショナルなダイバーズウォッチ「ラジオミール」を開発。これが第2次世界大戦で使用されたパネライ初のモデルとなるが、そのダイヤルが特徴的だったのである。3時と9時位置のバーインデックスが水平線のようにダイヤルを二分しており、上半分はローマ数字、下半分がアラビア数字。このスタイルを「カリフォルニア」と呼ぶ理由は諸説あるようだが、暗い海中で蛍光のアワーマーカーを見た時に、瞬時に時計の上下を感知させるための工夫といわれる。

パネライのルーツとして、これまでもラインアップされてきたが、今回の新作はブラウンのグラデーションが秀逸。エイジング加工を施したケースと合わせて、上質なヴィンテージ感が漂う。ベージュのステッチを施したオイル加工の渋いブラウンレザーも軍用だった往時を彷彿とさせる。ブラウンベースの雰囲気にブルースチールの針が絶妙にコントラストを見せる他、外周のレイルウェイトラック(線路状の分目盛り)がダイヤル全体をキリリと引き締めている。

お馴染みのクッションケースも含めて、これが戦時中の軍人の腕に巻かれていたとは信じられないほどスタイリッシュであり、イタリアの卓抜したデザインセンスに改めて感心させられる。ただし、47㎜のラージケースは視認性を高めるためのサイズであり、軍事機密に属する精密機器だったことから、ブランドロゴもカットされている。イタリアの伊達男たちが相棒として命を預けた歴史に想いを馳せ、その重厚な存在感を楽しんでいただきたい。

ストラップはカーフをイタリア・トスカーナ地方でなめした「タスカンレザー」。ダークブラウンカラーにベージュのステッチがヴィンテージスタイルを強調。風防はオリジナルと同様にプレキシガラス。

ムーブメントは自社製「P.3000キャリバー」。ツインバレル(ゼンマイを収納する香箱を2つ搭載)を採用しており、パワーリザーブは3日間。

問い合わせ先/オフィチーネ パネライ TEL:0120-18-7110