男の調理魂に火をつける、回転式オーブン

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    青野 豊・写真photographs by Yutaka Aono

    男の調理魂に火をつける、回転式オーブン

    マットなブラックという色味も、いかにも男性受けしそうなデザインだ。実勢価格¥51,000

    デザインや機能など、男心をくすぐる家電を密かに「オレ家電」と名付けている。そんな「オレ家電」を代表するのが、パナソニックから11月に発売された「ロティサリーグリル&スモーク」だ。かたまり肉を回転させながら焼くという野性味あふれる調理スタイルも、燻製が自宅でできるというユニークさも、艶消しブラックの本体デザインも、男ゴコロをくすぐる要素満載。女性たちからは「ちょっと大きい」「別にこれがなくても……」という声も聞かれるようだが、そんなことはパナソニックも重々承知。男性にターゲットを絞った調理家電らしい。

    このロティサリーグリル、ただ回転させているだけでなく〝遠赤外線ヒーターと近赤外線ヒーターのダブル遣い〞がおいしさのポイントになっている。ふたつのヒーターは同社の人気商品であるコンパクトオーブンにも搭載されているもので、遠火と近火の両方の要素で、食材を直焦げさせることなく中までじっくりと火を通す特徴がある。上部手前に遠赤、奥に近赤のヒーターを配置し、低速回転させながら上火だけで加熱することで、庫内の上部と下部に温度差が生まれ、たんぱく質の凝集が抑えられるため、やわらかでジューシーな焼き上がりになる。

    しかも肉全体に均一に火が通り、余分な脂が落ちてヘルシーなのだからうれしい。普通ならオーブンで焼いた肉をアルミホイルでくるんで余熱で火を通す、というような勘と熟練の技が必要なローストビーフも、オートメニューで約50分調理すればプロ顔負けの仕上がりに。焼き豚やローストポーク、丸ごとベーコンなどの肉料理はもちろんのこと、蕪などの根菜を丸ごとグリルすると香ばしさと甘みが調和して格別の味になる。パサつき感がなく旨みが凝縮したやわらかな肉は、ほかの調理方法ではなかなか難しく、ロティサリーグリルならではいえるだろう。

    燻製メニューも充実していて楽しい。2年前にこのコラムでも紹介したことのある同社の「けむらん亭」は、除煙・脱臭機能により室内でも煙やにおいを気にすることなく本格的な燻製づくりができるものだったが、それがさらにパワーアップしている。庫内の高さが6㎝ほど高くなっているため、鶏卵やカマンベールチーズなどもOK。低温と高温のふたつの温度設定で、食材に合ったきめ細かな燻製ができる。特に、溶けてしまいがちなチーズを低温で燻製できるようになったのは便利だ。

    そのほか25㎝までのピザや、一度に4枚焼けるトースター機能、フライやロールパンの温めまで、多彩な機能を備えている。自分で使ってみて心が躍り、家族や友人に喜ばれ、お手入れしている時にも笑顔になるような「オレ家電」として、ぜひおススメしたい。

    かごに入った肉がぐるぐるとまわるさまは、まるで本格的な肉料理店。全体をまんべんなく焼くことができる

    神原サリー
    新聞社勤務を経て「家電コンシェルジュ」として独立。豊富な知識と積極的な取材をもとに、独自の視点で情報を発信している。2016年、広尾に「家電アトリエ」を開設。テレビ出演や執筆、コンサルティングなど幅広く活躍中。
    ※Pen本誌より転載