スイスの名門「ジラール・ぺルゴ」の伝説的なトゥールビヨンが、クールブラックで迫力あるスケルトンに進化!

  • 文:笠木恵司

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ジラール・ペルゴ「ネオ・スリー ブリッジ トゥールビヨン スケルトン」。ダイヤルを横断するブリッジはブラックPVDとサンドブラスト加工をほどこしたチタン。自動巻き、チタンケース、ケース径45㎜、パワーリザーブ約60時間、30m防水。¥17,344,800(税込)

整然とした調和を守りながらも、生き生きとしたダイナミズムで見る者を圧倒する「ネオ・スリー ブリッジ トゥールビヨン スケルトン」が、スイスの名門かつ老舗の時計ブランドの「ジラール・ペルゴ」から登場しました。丸みを帯びた複雑な形状をもつ3本のブリッジがダイヤルを横断。それが支えているのは、大きな香箱からトゥールビヨンに至るまでの縦方向の輪列です。いわば水平垂直に毅然と構成された秩序の中で、大胆にデザイン&カットアウトされたディティールが、シャープな「透け感」をつくりだしているのです。

ジラール・ペルゴは、伝統的な複雑機構の中で最も難しいとされるトゥールビヨンに洗練された美学を導入した先駆けといえるでしょう。トゥールビヨンは機械式時計の心臓部である調速脱進機をキャリッジ(カゴ)にまとめて回転させることで、重力の影響を平均化(相殺)する仕組みですが、19世紀に活躍した時計師のコンスタン・ジラールは、このキャリッジや歯車の輪列を、ダイヤルを並行する3本のブリッジで支えることを考案。さらに、その素材に金を使った「スリー・ゴールド ブリッジ トゥールビヨン」を開発しました。この構造で1884年に特許を取得するだけでなく、89年のパリ万博で金賞を受賞し、世界に名声を轟かせたのです。機能だけでなく、美的にも卓越したトゥールビヨンとして伝説的な存在となっています。

 2014年には、この傑作を現代的に進化させた「ネオ・スリー ブリッジ トゥールビヨン」を開発。これに1995年からジラール・ペルゴが取り組んできたムーブメントのスケルトン化を組み合わせることで、今回の新作が誕生しました。

素材には軽量でアレルギーを起こしにくいチタンを採用。ケースはもちろん、3本のブリッジに加えて、6時位置で1分間に1回転するトゥールビヨンキャリッジもチタン製なので、部品数は80個にもかかわらず、重量はわずか0.25gしかありません。
また、ムーブメントは自動巻きですが、主ゼンマイを収めた香箱と同軸のマイクロローターを採用。香箱と重なるため、スケルトンの構造美を堪能できる一方で、ローターの素材をホワイトゴールドにして巻き上げ効率を向上。パワーリザーブも約60時間となっています。

1791年創業のジラール・ペルゴは、このトゥールビヨンをはじめ、優れた技術開発力を持つマニュファクチュールとして知られています。前述のコンスタン・ジラールは1880年にドイツ海軍将校のための腕時計を2000本製造したという記録が残っているほか、近年では、2013年に革新的な脱進機を搭載した「コンスタント・エスケープメントL.M.」で、ジュネーブ時計グランプリの「金の針賞(最優秀賞)」を受賞しました。時計トリビアとしておさえておきたいのは、日本に最初に正規輸入されたスイス時計のブランドであること。コンスタン・ジラールの義弟にあたるフランソワ・ペルゴが、明治維新直前の1860年に来日して横浜に住み、時計の販売をスタートさせました。

新作の「ネオ・スリー ブリッジ トゥールビヨン スケルトン」は、外見はクールブラックでアーティスティックですが、ブランドの歴史や哲学まで語ることができるという奥深さも備えた、由緒ある複雑時計なのです。

「ネオ・スリー ブリッジ トゥールビヨン スケルトン」のケースバック。自社製ムーブメント「GP09400-0011」の構造がよく分かる。

ケース厚は15.6㎜。風防とケースバックともにサファイヤクリスタル。ケースとストラップをつなぐラグが緩やかにカーブしており、フィット感は良好。

問い合わせ先/ソーウインド ジャパン 

TEL:03-5211-1791