空気の心地よさをデザインにした、彩りのエアコン

  • 文:神原サリー

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青野 豊・写真photographs by Yutaka Aono

空気の心地よさをデザインにした、彩りのエアコン

ミニマルなデザインで、これまでのエアコンとは一線を画す佇まいに。想定価格¥216,000(14畳用、税込)

発表会の会場でほんのりグレイッシュなブルーのエアコンを目にした時、思わず見惚れてその前に立ちすくんでしまった。それくらい「リソラ」との出合いは感動的だった。 

ダイキン工業から今年3月に発売されるルームエアコンのリソラは、コンセプターに坂井直樹を迎え、見えない空気を愛されるものにするために、使う人にとって理想の空間を提供すべく生まれたエアコンだ。これまでエアコンというのは省エネ性ばかりが重視され、スペックで選ばれるものだった。それを脱却し〝空気・空間の心地よさを形にする〞というコンセプトで生まれたリソラは、軽やかさを大切にし、質感やコントラストにこだわっている。 

一見すると多彩なカラーを揃えたエアコンのようだが、「カラバリではなく、いかに暮らすかという体験価値を検討した結果生まれた7色」なのだという。コストも手間もかかるインモールド成型の加飾技術によって生まれたのは、光沢のあるラインホワイト、木目のインテリアにもマッチするグレイッシュブラウンメタリック、ソファの張地を表現したマットな質感のファブリックホワイト、マットと艶の質感を織り交ぜたブラックウッド、編み込まれたような質感のツインゴールド、北欧をイメージさせるナチュラルなソライロ、自然に溶け込むようなフォレストグリーン。どれも美しく高級感があり、インテリアにしっくりと馴染みつつも、眺めるたびについ微笑んでしまう。そんな愛着のもてる仕上がりになっている。 

幅798㎜のコンパクトサイズで、奥行きは185㎜と業界最薄。2・2kWの6畳用から23畳用の7・1kWまで対応しているから、書斎や寝室、リビングなどどこにでも設置可能だ。それぞれの部屋に合わせて選ぶのも心躍るだろう。 

機能面でも見劣りはしない。同社のフラッグシップモデル「うるさら7」で培った、身体に直接当たりにくい「天井気流」「垂直気流」のほか、冷房時の除湿力を高めた「プレミアム冷房」、清潔機能である「ストリーマ内部クリーン」なども備え、快適な空調を実現させている。大きく前に突き出した奥行きのある形、無難なホワイトベースのカラーが店頭のほとんどを占める中で、デザインに注力しつつ、ここまで機能も充実させているのは見事だ。 

日産自動車「Be-1」やオリンパス「O-Product」をこの世に送り出したことで知られる坂井は、「ルイ・ヴィトンが伝統を守りつつもマーク・ジェイコブスや村上隆を招き入れたように、デザインには継承と革新が必要です。次のスタンダードをつくるのがイノベーション」なのだと語る。リソラが、エアコンの次のスタンダードになる日も近いかもしれない。

左の写真のソライロを含め、合わせて7色が揃う。いずれも愛着の湧く、温かなトーンに仕上げられている。

神原サリー
新聞社勤務を経て「家電コンシェルジュ」として独立。豊富な知識と積極的な取材をもとに、独自の視点で情報を発信している。2016年、広尾に「家電アトリエ」を開設。テレビ出演や執筆、コンサルティングなど幅広く活躍中。
※Pen本誌より転載