時・分・秒が独立した「クロノスイス」のレギュレーターがレトログラード秒針を初搭載。

  • 文:笠木恵司

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時間、分、秒をそれぞれ独立して表示するレギュレーターは「クロノスイス」のアイコニックなスタイル。ベゼルの外周に刻みをいれたコインエッジとオニオンタイプのリューズもブランドの伝統。「フライング・レギュレーター オープンギア レ・セック」(ブルーDLCコーディングを施したSSケース)。¥1,652,400(税込)

時計の時針、分針、秒針を独立させたスタイルを「レギュレーター」と呼ぶことをご存じですか? 昔の時計はもともと秒針がスモールセコンドとして独立していました。時針が長くスモールセコンドを遮ることになるため、18世紀後半に時針も独立させた特殊なスタイルが考案され、常に正確な時間把握が必要な天文台や時計工房などに高精度クロックとして配置されました。このことから、こうしたダイヤルの時計を「レギュレーター=標準時計」と呼ぶようになったのです。

このレギュレーターを1987年に腕時計に採用したのが、クロノスイスです。限定ではなくシリーズで生産したのは世界初。クオーツショックで落ち込んだ機械式時計の人気を復活させる契機のひとつとなった個性的なモデルであり、同ブランドのアイコンウォッチとして現在に至っています。

このレギュレーター・ダイヤルに、レトログラード式のスモールセコンドを組み合わせた「フライング・レギュレーター オープンギア レ・セック」が登場しました。この組み合わせは同ブランドでも初だそうです。6時位置に120度の扇形サブダイヤルがあり、秒針は右端の0から始まり、左端の30に達すれば瞬時に元に戻って再び秒表示を繰り返します。寄せては返す浜辺の波といった感じでしょうか。ダイヤルはベース部分と、時・分表示サークルなどを上層に配した2層になっており、立体感がきわめて高い構造になっています。

ケース素材とカラーリングで5タイプ揃っていますが、ブルーのDLC(ダイヤモンド・ライク・カーボン)をコーティングしたモデルは幻想的な雰囲気。スーパールミノバ(蓄光式蛍光塗料)とセラミックを混合したオフホワイト色のドットインデックスがユニークな彩りを添えています。ベルトもケースもブルーで統一しており、インパクトは抜群。

レギュレーター・ダイヤルは、使い始めは戸惑うかも知れませんが、慣れればむしろ見やすく感じられるはず。通好みの機械式モデルが、コンテンポラリーでスタイリッシュな意匠をまとって再デビューしたといえるでしょう。

4種類のカラーバリエーションを揃えたSSケースと18Kレッドゴールドケースをラインアップ。写真は針やダイヤル外周の分表示などにライムグリーンを採用。いずれも自動巻き、パワーリザーブ約42時間、10気圧防水、シースルーバック、アリゲーターストラップ(ホーンバック/背ワニ)、9月発売。「フライング・レギュレーター オープンギア レ・セック」(ブラックDLCコーティングを施したSSケース)。¥1,652,400(税込)

各モデルとも50本限定で、3時位置にシリアルナンバーが記されています。写真はシルバーダイヤル×ステンレス・スチールケースの組み合わせ。¥1,522,800(税込)

問い合わせ先/栄光時計 Tel03-3837-0783