遠赤の熱でおいしく輝く、食材の舞台。

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    青野 豊・写真photographs by Yutaka Aono

    遠赤の熱でおいしく輝く、食材の舞台。

    上から熱を加える仕組みなので、焼き具合を常にチェックしながら焼けるのも便利。¥34,560

    秋を代表する魚といえばサンマだが、最近では煙やニオイを嫌ったり、グリルのお手入れを気にして、魚を焼く家庭が少なくなってきたのだという。でも今年の秋は、アラジンの「グラファイトグリラー」があれば、存分にサンマを楽しむことができるはず。しかも食卓の上で焼きながら。

    このグリラーは、ホットプレートのように下から熱を与えるのではなく、遠赤グラファイトヒーターによって上部から調理を行う新機軸の調理家電。特許技術によってつくられた遠赤グラファイトは鉄の約10倍の熱伝導率があり、速暖性が高いため、暖房器具にも使われている。0・2秒で立ち上がり、0・6秒後にはMAXに達するというそのスピード性や放射強度の高さは、食品の加熱にも威力を発揮すると着目されていたが、調理家電に使えるようにヒーターの長さを短くするのが難しく、製品化するまでに時間がかかったのだという。第1弾として一昨年、グラファイトトースターを発売。一気に庫内の温度を高められるために、外側はサクッとし、中はふんわりもちっとした理想的なトーストが焼き上がると人気を博している。

    第2弾となるこのグリラーでは、遠赤グラファイトによる〝瞬間発熱〞と高温輻射による、旨味を逃がさない調理という魅力に加え、下のトレイに水を入れて使う方式にしたことで食材から出る脂分が水の中に落ちるため、煙が出ず、油が飛び散らないという調理を実現させている。上に熱源があるため、焼き具合の変化を確かめながら調理できるのもいい。なにより心躍るのが、反射板に当たって降り注がれるヒーターのオレンジ色の光が、スポットライトのように食材を照らす様子だ。卓上での調理がエンターテインメントのように感じられるのが素晴らしい。

    旬のサンマはもちろんだが、焼くのが難しい粕漬けなどもふっくらと失敗なく焼き上がり、タレを付けながらの焼き鳥もお手の物。波形構造の焼き網のほか、蓄熱性の高いプレートもセットになっており、肉もやわらかく焼き上げる。保温モードを使えば、野菜やソーセージなどを温めつつ、頃合いの温度に保ったソースでチーズフォンデュも楽しい。

    ブルーフレームの石油ストーブでお馴染みの〝アラジングリーン〞の本体は、左右対称で丸みをもったデザインが美しく、ランプをかたどったロゴマークがどこか懐かしさを感じさせる。このままキッチンカウンターや棚の上に出しっぱなしにしておいて日々活躍させたいが、コンパクトに折り畳んで収納できるケースと布製トートバッグも付属しているので、アウトドア(電源を確保のこと!)や友人宅にも持ち運んで使いたおしたい。

    コンパクトに折り畳むことができ、付属のトートバッグに収納すれば、どこにでも手軽に持ち運びができる。

    神原サリー
    新聞社勤務を経て「家電コンシェルジュ」として独立。豊富な知識と積極的な取材をもとに、独自の視点で情報を発信している。2016年、広尾に「家電アトリエ」を開設。テレビ出演や執筆、コンサルティングなど幅広く活躍中。
    ※Pen本誌より転載