東京車日記いっそこのままクルマれたい!
第79回 AUDI A8 L 60 TFSI QUATTRO/ アウディ A8 L 60 TFSI クアトロ
サルーンは最高の相棒!? 新型A8で行く、仲間たちとのミュージカルジャーニー
友人の著述家・湯山玲子が瀬戸内海でクルーズイベントをするので、アウディの新型A8で行ってきた。イベントは『爆音クラシック』といって、船上から水島臨海工業地帯の夜景を観つつ、爆音でクラシック音楽を聴くというアヴァンギャルドな内容。クルマで往復1500kmの長丁場を、男4人が普段耳にしないクラシック音楽を聴きながら走る。そんなドライブの相棒としてこのクルマを選んだわけだけど、結論から言うと「サルーンは仲間で出かけるための最高のギア」ってことだった。A8のロングボディは、その意味でベストな選択だったね。
快適な移動を約束する、最新サルーンという選択。
まずエアサスペンションの乗り心地と、低速走行で際立つマイルドハイブリッドの静粛でエレガントな走りに驚く。A8の静粛性の質って、音を封じ込めるのではなく、そもそも音を出さない設計なのね。これは高速走行でもそうで、エンジンはポルシェのパナメーラ ターボと同型の4ℓV8なんだけど、高回転の高速域以外はフラットなトルクでノーストレス。男4人が乗っているのを感じさせないトルクの応答性で、アクセルを踏み込むと4輪で路面を蹴り出す、アウディらしい運転感覚が楽しくてたまらない。軽快にして抜群の安定感でね。あまりの快適さに東京から兵庫の西宮まで540kmを(1回のトイレ休憩を除いて)走り抜いても、まったく疲れを感じないのには「恐れ入りました」って感じ。
新型A8は、自動運転レベル3(条件付きの自動運転が可能)を実現する機能を売りにヨーロッパで発表されたものの、法律的に追いついていなくて実用化できなかったのね。けれどもそのベースとなる前車追従機能や、ハンドルに介入してくる車線維持支援機能なんかは素晴らしい出来栄えだったね。いかにもAIっぽい急減速や急加速なしに、定速をキープするのが熟練運転手のようにうまい。ハンドリングも制御されているんだけど、ぎりぎりまでドライバーにハンドルを委ねているのが自然で好感がもてる。まぁ、10段の跳び箱をクリアできる少年は、8段ならよりスタイリッシュに跳ぼうとするのと一緒ですよ(笑)。自動運転レベル3の走行イメージも、さすが“わかってる!”って感じだったね。
試乗車はボディがグレーで、内装もオールグレー。このカラーリングがめちゃくちゃよかった。グレーヘアで全身をグレーのコーディネートで決めた、俳優の渡部篤郎って感じでね(笑)。オジさま仕様のグレーの車体が、洒落っ気と色気に変わる。メッキパーツを多用することで重厚なデザインに生まれ変わったA8を、軽やかにアウディらしく見せる色づかいっていうかな。バング&オルフセン製のオーディオシステムも素晴らしい。音の解像度が高くても重低音が強いドンシャリ系ではなく、そこに演奏者がいるようなライブ感の際立つシステムだったね。
この音響システムは音楽好きな仲間にも好評だったんだけど、ともかく休日でも仕事の電話がかかってくるような大人が遊びに行くのに、サルーンは最高の移動手段。特別にスポーティである必要はないし、リラックスしておしゃべりしつつノートPCを取り出して仕事に対応、眠くなったら寝心地も最高。座席にはマッサージ機能も付いていて、リフレッシュはもちろん仲間との時間をより親密なものにしてくれる。新型A8に「楽しい時間をありがとう」って感じだったな。
●エンジン形式:V型8気筒DOHCターボ
●排気量:3996cc
●最高出力:460PS/5500rpm
●駆動方式:4WD(フロントエンジン4輪駆動)
●車両価格:¥16,400,000~
問い合わせ先/アウディ コミュニケーションセンター
TEL:0120-598-106
www.audi.co.jp