シリーズを通して多様なスーツスタイルを披露したマイケルが、Part Ⅲで着たスーツとは?

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    シリーズを通して多様なスーツスタイルを披露したマイケルが、Part Ⅲで着たスーツとは?

    文:小暮昌弘(LOST & FOUND) 写真:宇田川 淳 スタイリング:井藤成一
    イラスト:Naoki Shoji

    フランシス・フォード・コッポラが監督した不朽の名作「ゴッドファーザー」3部作。昨年末、公開から30周年を迎えた『ゴッドファーザー PARTⅢ』を監督自身が再編集した『ゴッドファーザー(最終章):マイケル・コルレオーネの最後』が発表され、話題を集めた。今回は、そんな名画「ゴッドファーザー」シリーズに登場した名品を探してみた。

    イタリアスーツのルーツでもあるサルトリア仕立てが特徴の、ナポリのスーツをイメージしたモデル。素材も上質なカシミア混で、快適な着心地をもたらしてくれる。ワイドなラペル、肩パッドを省いた軽快な仕立て、いかにも同ブランドらしいダブルブレストのスーツだ。スーツ¥737,000(税込)、シャツ¥73,700(税込)、ネクタイ¥34,100(税込)、靴(参考商品)/すべてジョルジオ アルマーニ

    『ゴッドファーザー』3部作の主人公のひとりであるマイケル・コルレオーネ(演:アル・パチーノ)は、シリーズを通してさまざまなテーラードスタイルを披露する。

    『ゴッドファーザー』(1972年)ではダートマス大学出身らしく、ファミリーに入る前は完璧にアイビースタイル。父親が襲撃されたことをきっかけにファミリーに参加した後は、ダークな色合いのスーツが中心。『ゴッドファーザー PARTⅡ』(74年)では、シルクシャンタンなどの素材を使って柔らかに仕立てたスーツで登場。キューバなどのリゾート地では色合いも明るいものを着用している。

    一方、前作から16年を経て制作された『ゴッドファーザー PARTⅢ』では、打って変わって色合いも仕立てもイタリア的な、いわゆるソフトスーツを着用している。舞台のほとんどがイタリアということもあるのだろう。第3作の時代設定は、1970年代後半から80年代にかけて。ちょうどこの時期は、それまでのパリを中心にしてきたモード界に対して、イタリア、特にミラノファッションが目を見張るような躍進を遂げた時期である。

    メンズスーツも大きく変化し、ソフトスーツが世界的に流行。ピンストライプのお堅いスーツずくめだったウォール街のビジネスマンまでも、ソフトスーツをこぞって着るようになった時期にあたる。『時計じかけのオレンジ』(71年)や『炎のランナー』(81年)などで名声を得て、この映画の衣装を担当したミレーナ・カノネロは、そんな時代背景を考えてマイケルにソフトスーツを着用させたのだろう。

    マイケルだけでなく、この映画で3代目のドンとなるヴィンセント・マンシーニ(アンディ・ガルシア)などのスーツスタイルにも同じことが言える。同じダブルブレストでも、確実に前2作とはデザインや仕立て、雰囲気が違う。

    ここで紹介するのは当時のミラノファッションを牽引し、いまでも大活躍する大御所、ジョルジオ アルマーニのダブルブレストのスーツだ。「モードの帝王」と呼ばれ、伝統的な男性ジャケットを解体し、甲冑のような堅いジャケットをソフトに一転させたデザイナー。

    ワイドなラペル、肩パッドを省いたソフトな仕立てにしてもジョルジオ アルマーニの真髄を体現したモデル。第3作で老年を迎えて渋さを増したマイケルに、とても似合うスーツではないだろうか。

    ワイドで美しい曲線を描くジョルジオ アルマーニらしいジャケットのラペル。仕立てのソフトさも伝わってくる。

    フラップ(蓋)のない「両玉縁」の脇ポケット。シンプルで、スーツをクールな味わいに見せる。

    ブラックのジョルジオ アルマーニの織りネーム。

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    問い合わせ先/ジョルジオ アルマーニ ジャパン TEL:03-6274-7070
    https://www.armani.com/