写真:宇田川 淳
Vol.70 白シャツ専門ブランドがフランスで誕生。 中世へのマニアックな偏愛ぶりに拍手!
いま気になるファッションスタイルは、「貴族的なエレガンス」。そう言葉にすると私たちの生活と縁遠いようですが、要するに洗練されたキレイめな服装のことです。長く流行が続いたルーズに着崩す「ストリート」や、アクティブな「スポーツ」の流れが、この冬にターニングポイントを迎えています。「フォーマル」とも称される、端正にクリーンに装う気運が台頭してきたのです。このファッション連載「着る/知る」も今季は、新鮮味のある上品な服を探してきました。そしてようやく、ここでお伝えしたいブランドに出会えました! それが今回の主役、「ブリエンヌ」です。
2017年にフランスで設立された白シャツ専門ブランドです。デザインのベースは、中世ヨーロッパのビンテージシャツ。このコンセプトだけでもう、 “白シャツ好き” の期待値はマックスでしょう。海外の高級シャツはイタリアの手縫い品を筆頭に、よどみなくボディに沿うフィット感やストレスフリーな着心地に主軸が置かれるのが通例です。ディテールにはあまり個性が求められません。一方でブリエンヌは、ある意味でディテール偏愛主義。ギャザーやプリーツといった古典のモチーフを使いつつ、しかし現代的なバランスのシャツに仕上げています。
上写真の左端のシャツは、襟が小さなフレンチカラー。フロントがボタンを隠した比翼仕立てで、さらに袖口にも大きな工夫が(詳細はスクロールした先に)。中央のシャツは、立ち襟のオフィサーカラー。被って着るプルオーバータイプです。右端の襟は、幅の狭いオフィサーカラー。胸当てがつき着丈もヒップを覆う長さで、シャツが下着を兼ねていた時代のエッセンスが色濃い一着です。
記事冒頭の3着のうち左端のシャツのクローズアップです。カフスにつながる剣ボロの上が立体的に折り畳んで装飾され、袖に複雑な表情を与えています。
着用すると、さらにディテールの面白さが際立ちます。プレーンな白シャツだからこそ、こうした工夫が深い味わいと高級感を生み出すのです。
記事冒頭の3着のうち、右端のモデル。上着から覗く胸回りを整えることが必須だった時代に思いが馳せられた、ネオクラシックなデザインです。
別タイプの「イカ胸」シャツを着たルック。ネクタイを締めないドレスアップをするとき、こうした白シャツが一枚あればスタイリッシュに装えます。
ブリエンヌによる、古典を研究したスケッチ。現代では女性的とみなされやすいプリーツやギャザーがふんだんに配されているのがわかります。
パリ10区にある世界で唯一のオンリーショップ。デザインの参考にしたビンテージも並べているのがユニーク。フランスを訪れたさいにはぜひお立ち寄りを。
Bourrienne ParisX
58 Rue d'Hauteville,75010 Paris,FRANCE
営業:10時〜19時30分(月〜金)、11時〜19:30分(土)
定休:日曜
TEL:+33 1 83 79 31 70