帽子は実に便利なアイテムです。とくに気候が暖かくなるこれからの季節には、ワードローブに常備しておきたいもの。出掛ける前にさっと被れば、汗で乱れがちな髪型を一日中気にせずに済みます。シャツ＋パンツのミニマルな軽装のときも、帽子を加えれば洒落たムードに。それでは、いま大人が選びたい帽子とは何でしょうか。ここでお薦めするのは、「爽やか色のキャップ」です。

ひと昔前、いえふた昔前なら、ベースボールタイプのキャップは若者向けのアイテムでした。大人の定番は中折れハットやハンチングだったのです。スポーツウエアに準じた服やスニーカーの人気が広がるにつれ、世代も男女も問わずキャップがタウンスタイルとして定着しました。ただし、いい大人（アラフォー以降）ともなると、似合いにくい色が出てきます。着こなし難易度が高いのは、意外にも黒、ネイビー、カーキといったダークな色。男はつい選びがちですが、重い色を頭に乗せると額縁効果で肌のくすみやシワが目立ってきます。さらに真夏が近づくにつれ、人に暑苦しく思われる確立もグンとアップ。何でも似合った若い頃とは発想を切り替えましょう。明るい色で顔の印象を散らして装いをクリーンに見せるのが、大人のキャップ選びのコツです。

コーデの基本的な考え方は、「シックな服装を帽子でスポーティに着崩す」。服と色合わせしなくても、案外サマになるものです。上の写真はアメリカで製造された、フランスの「A.P.C.（アー・ペー・セー）」の真っ白なキャップ。カレッジやベースボールの伝統と、A.P.C.らしいハイセンスなグラフィックが融合しています。フロントの裏に固い芯がついたタイプで、型崩れせずにシャープなフォルムを維持できます。ここで組ませた服は、カーキのハイゲージ・ミリタリーニット。相性がいいカーキ✕白のベーシックな色合わせです。

こちらも同じくA.P.C.の別モデル。レトロな手書き風にアレンジされたロゴフォントがお洒落です。印象がやわらかいので女性にもよく似合いそう。記事冒頭のモデルと異なりフロント裏に芯がなく、全体にやわらかな仕上がり。「上品なワークキャップ」ともいえる、洗練された雰囲気です。

キャップ ¥16,200（税込）、Tシャツ  ¥11,880（税込）／ともにA.P.C.（アー・ペー・セー カスタマーサービス TEL：03-3710-7033）

続いて掲載するのは、日本の帽子ブランド「ナイン テイラー」の無地白キャップ。被せ（クラウン）が深くつばが短い独特な形です。素材はリネン・レーヨンで、夏らしく涼しげな印象。形を保つコットンの裏地つきです。後ろのアジャスターには飾りのリベットがあり、ヴィンテージワークテイストを感じさせるキャップです。

キャップ ¥8,532（税込）／ナイン テイラー、イージーパンツ ¥18,360（税込）／アトリエ ベトン（ともにスタジオ ファブワーク TEL：03-6438-9575）

クタッとこなれた、高密度ナイロンのベージュキャップです。これもコットンの裏地つき。印象が沈みがちなアースカラーの中でも、このように明るいベージュは肌色に近いため、顔映りが悪くなりません。似た中間色の服と組ませると手軽にまとめやすいでしょう。白や黒のトップスにもよく似合う色です。

キャップ ¥6,372（税込）／ナイン テイラー（スタジオ ファブワーク TEL：03-6438-9575）、シャツ ¥31,320（税込）／08サーカス（08ブック TEL：03-5329-0801）

今回のラストを飾る2点は、アメリカを代表する「ニューエラ」。メジャーリーグ・ベースボール唯一の公式な選手用キャップ・サプライヤーです。大量生産品ならではのタフな味わいがあり、コスパがいいのも魅力。カジュアルなロサンゼルス・ドジャースのロゴ入りキャップは、麻のニットのようにシックな服の着崩しに重宝します。

キャップ ¥4,104（税込）／ニューエラ（TEL：03-5773-6733）、麻のニット ¥17,280（税込）／ホワイトライン（グランデッド TEL：03-5354-6088）

やわらかなスウエット素材で頭に馴染む、ニューヨーク・ヤンキースのロゴ入りキャップ。ピンクの帽子は男にとってちょっと冒険ですが、いい年の大人が被ると顔のキツさが和らぐ良さがあります。服をニュートラルな色で揃えて、このキャップだけをアクセントにすると着こなしやすいものです。

キャップ ¥4,104（税込）、シャツ ¥10,800（税込）／ともにニューエラ（TEL：03-5773-6733）

今回のキャップ特集はいかがでしたか？ まずは一点、ライトトーンのキャップを手に入れましょう。汚れやすい帽子をあえて被るのも大人の余裕です。「爽やかですね」と誰かに褒められたときに、チャレンジしてよかったと思えるはず！